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……守りたかったんだ。本当に、それだけだったはずなのに。
蓮司の言葉が、頭の中で、何度も何度も反響する。
“独占欲”。
“自分のものにしたかった”。
“誰にも触れてほしくなかった”。
──そんなふうに思ってた?
違う。違うよ。
俺はただ、あんなふうに日下部が、壊されるのが──
……いや。
もしかして、本当は……?
そう思った瞬間、心がどこかでぐらりと揺れた。
吐き気がした。
自分が、自分じゃないような気がした。
守りたかった。
でもそれが、ただの「独り占めしたいだけの、自己満足」だったとしたら?
それって、あいつらと……変わらないんじゃないか?
そんなふうに考えはじめた瞬間、
「守りたかった」っていう気持ちさえ、
ただの言い訳に見えてきた。
汚いな。
醜いな。
結局、俺も──壊す側の人間なんだ。
そんな声が、心の奥から聞こえてきた。
※遥の内心分析。スルーOK。
本心としての「守りたかった」気持ち。
日下部には、あんな風にされたくない。
あんな風に、壊されてほしくない。
自分が味わってきた「汚される感覚」を、あいつには味あわせたくなかった。
(=愛ではないにしても)確かに“守りたい”という感情はあった。
だが、蓮司に“歪んだ言語”で言い換えられると──
「独占したかったんでしょ?」
「誰にも触れてほしくなかったってことは、自分だけのものにしたいってことじゃない?」
「日下部を“持っていかれる”のが怖かったんじゃない?」
……そう言われた瞬間、遥の中の純粋な気持ちはすぐに“自己嫌悪のフィルター”で塗り潰されてしまう。
遥にとって問題なのは「感情の優先順位がつけられないこと」。
蓮司の言葉に晒されることで、「守りたい」が「独占したい」にすり替わってしまったように感じる。
本当は両方あったはずなのに(多分、守りたかったの方が強く)、「醜い方」だけが自分の本質だと思い込んでしまう。
その結果、「自分はまた、間違った形で誰かを壊そうとしている」と思ってしまう。
結果。
「守りたかった」気持ちは消えたわけじゃない。
でも、蓮司に「見透かされた」と思った瞬間、その感情が信じられなくなってしまう。
「そうじゃない」と思いながら、「もしかしたらそうかもしれない」と飲み込まれていく。
……そして遥はもっとややこしい子になっていく……何してくれるんだ……アイツ(蓮司)……。