照 💛『はぁ…』
翔太💙『ふふっ////』
照 💛『何で嬉しそうなのよ』
枕を抱き抱えてベットに突っ伏す俺を他所に、膝立ちしたまま出窓に腕を組んで顎を乗せた翔太は、折り曲げた膝をパタパタと交互に楽しそうに動かすと、お尻が可愛らしく左右に振れた。
ベット脇の床には、一人分の大きなリュックとその上にはトレッキング用のウエアーが寂しそうに置いてある。
今日は友人と早朝から登山の予定だった。丸一日の休日なんて滅多にない。以前から山に行くと決めていて凄く楽しみにしていた。
昨夜から降り続いた雨は朝になっても止む事なく、無情に鳴り響いた着信音は中止の連絡を告げた。
昨日の夜から幾度となく、外を覗いは雨の様子を伺っていた翔太は天気を気にしてくれているとばかり思っていた。
翔太💙『雨だね…ふふっずっ〜と雨だ』
照 💛『あぁ最悪だ…次いつ行けるか分からないのに』
翔太は再びベットに潜り込むと、俺の胸に乗っかってきて抱きつくと、必殺技の上目遣いで俺を見た。
照 💛『なにぃ?可愛いんだけども?』
翔太💙『ねぇしたくなった?』
憂鬱な気分でとてもそんな気になれない。それ程までに落ち込んでいる。〝昨日したでしょ〟ちょっと冷たい言い方になってしまった。尚もめげずに必殺技の上目遣いを多用している。足スリスリが追加された。楽しくなってきたのでもう少し焦らしてみる。
翔太💙『ねぇ元気出して?癒し効果あるよ俺?』
なかなかいいプレゼンだ。〝どんな?〟シャツに腕を伸ばし捲った翔太はおなかを撫でて誘っているつもりらしいが〝やめてくすぐったい〟あっ拗ねた。
拗ねた横顔も可愛い。分かりやすく口を尖らせてキスをねだっている駄々っ子にしか見えない。
翔太 side
ふふっ昨晩からずっと心の中で歌ってる。
♪雨雨降れ降れ照兄が蛇目でお迎え嬉しいな♪
雨男の照効果も相待って東京の空に猛烈な雨を降らせた。あっ俺の部屋にはひっくり返った逆さてるてる坊主が所狭しと下がっている事は照には内緒だ。
これで今日は照を独り占めだ。
インドア派の俺は照の趣味に全くついて行けない。何が楽しくって、わざわざ汗を掻きに山を目指すんだ?サウナ行けばいいじゃん?ジム行けばいいじゃん?何ならベットの上で汗かいたりして…////
山に行くと丸一日は帰ってこない。他のメンバーと遊ぶと照は嫉妬深いから怒っちゃうし、大体いつも一人でお留守番だ。たまにはこんな日があたっていいだろう?
西の空から怪しく青空が雪崩れ込んできている。東の空からは太陽の光が…
照 💛『あっ晴れてきたくね?ワンチャン行けるか?』
一気に不安に襲われる。
お願いだから晴れないで。阿部ちゃんからは〝一日雨だから安心して〟とお墨付きをもらったのに…
翔太💙『雨雨降れ降れもっと降れ!』
照 💛『はぁ?』
色仕掛けにも全然乗ってこない。
ポンコツで登山バカな照の筋肉隆々な胸をボコスカ叩きながら涙が溢れた。硬くて可愛い翔太くんのお手手の方が痛い。
翔太💙『バカ…バカバカ』
行く着く先はいつだって自室の部屋の隅っこ。不気味に下がる逆さまてるてる坊主が今にも泣き出しそうだ。
カーテンの隙間から光が差して益々涙が溢れる。一緒に居たいだけなのに・・・
照 💛『翔太どうした?』
筋肉おバカは察しが悪い。俺は言葉にするのが苦手。一生迷宮入りしてろアホ兄め…
照 💛『うわっ何これてるてる坊主?何で逆さま?この方が効果あんの?ありがとう翔太』
イヤなんでそうなるんだよ…後も簡単にヒョイっと抱き上げられるとそのままリビングのソファーに連れて行かれて照の股の間にすっぽりと収まった。
こんなことしたって許さないんだから。
照 💛『言わなきゃ分からないよ?翔太の悪いところ出ちゃってる』
翔太💙『お前もな!察せよ筋肉バカ』
背中に照の息が当たった〝はぁっ〟面倒くせえって俺には聞こえる・・・
握り拳を作ってグッとお腹に力を加えると床を蹴って思い切り立ち上がった。
翔太💙『照と居たいのに…一緒に居たい、ただそれだけだよ!なんか文句あるかよ!ささっと山でも何でも行っちゃえよ』
流れ出た涙は誰が止めるの?照でしょ?
面食らった間抜けな顔なんかしやがって…言えって言ったのそっちだろう。部屋に篭ろうと踵を返すといきなり腕を掴まれて前のめりに転げ落ちる。
ふわっと照の匂いが鼻を掠めると腕に包まれて二人で床に転がっていた。
照 💛『痛っ…何にもないところで久々に転んだわ////ごめんね翔太…寂しかったの?』
翔太💙『ンンンッ///』
柔らかい照の唇が重なると涙が頰を伝う。
ずるいよ…こんなんで帳消しになんか出来ないんだから。優しく頰を撫でる男らしい照の指が唇をなぞった。くしゃくしゃと皺を寄せて笑う照の皺の一本一本は愛おしいのに、自分のほうれい線は憎らしいなんて・・・
翔太💙『愛してんの!大好きなのにぃずっと一緒に居たいって俺だけなの?』
困らせる言葉を浴びせて何になる?照の自由を奪う言葉は俺の自由だって奪うのに…だから言いたくないんだ。言葉は時に暴力になって相手を傷つける。
翔太💙『ごめん今の無し。嘘嘘最低だね俺』
照 💛『ありがとう嬉しいよ本音言ってくれて。悪かった…翔太が一番だよ愛してる。いっぱい一緒に居たいよ。でも…』
分かってるから言わないで…照の頰を掴んで引き寄せると口を塞いだ。どこにも行かないでって言ってるよなもんじゃないか。そんな女々しい事言うつもりなかったんだ。
翔太💙『ごめんなさい////ただの我儘です』
照 💛『いいよ?いっぱい聞きたい翔太の我儘。二人で何しようかベットでイチャつく?』
翔太💙『ここがいい』
〝えっ?痛いじゃんベット行こうよ〟無機質な冷んやりとしたゴツゴツした床に寝そべりながら足を絡ませる。分かってないな照は…1秒だって惜しいんだよ?今すぐに照が欲しい。
ベットに行けば良かったと後悔したその日、ちょっぴり素直になれた日だ。
俺をひとりぼっちにする日、前夜から雨降の儀に力を注ぐ恋する男の子がいる事を照は知らない。
時々降らせるからね ♡とびっきりの大雨を・・・
雨男と雨降💛💙 おわり
コメント
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部屋の隅っこにいるしょっぴー💙が可愛い。うちにもほしい。
やっぱしょっぴー💙可愛い😍😍