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深琴の事を説明し武器庫に着くまでの間色々説明を受け、いよいよ武器庫の目前と思ったら「見てもオーバーリアクションするな」と言われたので少しばかり緊張してしまう兄弟達と深琴
秋夜:「相手が緊張する様な事ばっか言うよなお前」
翔:「・・・別に良いだろ」
武器庫を前にしてこの二人のゆるさ加減で、ああ仲が良いんだなと思ってちょっとほっこり(?)している深琴と暁達六人、だが場所が武器庫前なのでどうしても注意された事で緊張が走るのを忘れる事が出来ないので早く扉を開けるなり何なりしてくれとツッコミたくなってしまう
翔:「話してても選定出来ねぇし・・・さっさと入るぞ」
やっと武器庫の扉が開かれる、そして開かれた先に広がっていた光景は・・・・・
暁:「武器多!!」
翔:「そりゃ武器庫だからな・・・多いだろ・・・」
圧倒的な武器の数、そしてそれを手入れする職人達が数人、だが数人程度で大丈夫なのかと思う、この武器達がこの職人たちの手によってだけで手入れされているものだと思うといつか過労で死んでしまうのではないかと心配になってくる、そして、この武器の中から自分の性質に合った武器を探す、それが今回の目的とはいえ、この中から探すのはとてもじゃないが体力を消耗するだろうと凄く思うが、まずは何があるかも把握していないこの状況で、自分の声質に合ったものを探せとは・・・
秋夜:「まぁ初めは自分が使いたい武器を探せば良い、そんな中から自分の性質に合うやつがあるか、それを見つければ良いだけの事だ」
翔:「じゃ、俺は隅に居るから・・・」
そう言い翔はすぐに武器庫の隅の方へ行ってしまった、先ず使いたい武器を探す、初手で性質の合う物を、と言われるよりハードルは低いがそれでも悩む物は悩む
五人:「うーん・・・」
深琴:「(みんな真剣だね、私は迷わない様に気をつけて見学して回ってこよっと!)」
そして暁達の知らぬ間に武器庫の見学、と言う名の探検に行ってしまう
瑠征:「取り敢えず僕あんまり前線とか行きたくないです!怖いから!」
翠恋:「私も~・・・立つとしても後衛かな~」
賀樂:「俺鉄パイプみたいに簡単に振り回せる奴が良い」
黒月:「俺はまぁ、体術とかで良いわ」
各々決まってきたらしい、賀樂と黒月はなんとアバウトな注文か、瑠征と翠恋は後衛を所望している
秋夜:「ならまぁ後衛の奴は弓とか遠距離系統で、メガネと細目は近距離か中距離系統じゃねぇかな」
言わずもがな弓は遠距離の代表格だ、ただ中距離となるとあまり種類が豊富なこの武器庫でも数が少ないかも知れない、近距離なら剣やナイフ、ダガーで中距離なら槍や斧、鎌、遠距離なら弓やクロスボウ、銃などに分けられる、勿論剣や槍などのリーチの違いや弓や銃の射程など一括りに武器と言ってもそれぞれの個性がある、癖のある物もあり重さも違う為、そもそも性質が合っていても使いこなせるかは本人の力量による
暁:「(どうせなら前線に立ちたいけど、使いたい武器って言われてもな・・・)」
秋夜:「そこまで深く考えなくても武器庫内を見回って目に止まったもんで決めたって良いぞ」
次々と兄弟達の使いたい武器のイメージが固まっていく中、暁だけはまだ中々決める事が出来ないでいた様だ、「武器庫を見回って目に止まった物を」ならば見回って決めるかと兄弟達から離れて探す事に
暁:「で、探しにうろつきに来たは良いけど、どの武器も何かピンと来ないんだよねえ・・・」
深琴:「あれぇ?さっきからぐるぐるしてる気がするぅ・・・」
そこまで遠くない所から深琴の声が、どうやら迷ったらしく声をかけに行った
暁:「深琴様」
深琴:「あっ暁さん!良かった知り合いに会えて!」
暁:「そこまで深刻です?」
深琴:「自慢じゃないけど私方向音痴だから!」
確かに自慢じゃない、自慢出来る事では無いと思う、ただそれを胸張って言える事は良いと思う、ここで話しかけたはいいが、暁は武器を探している真っ最中、あまり時間はかけたくないが深琴を放っておくわけにも行かないので、適度にまた迷子にならない様相手をしつつ、武器探しを再開・・・したらしたでピンと来るものが予想以上に無く、思いの外ドンドンと奥に進んで行ってしまった
深琴:「何か、凄い奥まで進んで行ってない?」
暁:「・・・まぁ来た道戻れば良いだけでしょう」
少し自信が無さげに聞こえるなぁと思う深琴、そしてココの構造を把握出来て無い暁は確かに自信が無い、その時二人の近くにあった大きな保管棚には見た事の無い大鎌が、不思議に思った暁が近づき、深琴はそれにはぐれないようについて行く
深琴:「武器なのに、凄く綺麗・・・」
暁:「・・・・・」
二人は見た瞬間この大鎌を綺麗だと、そう思った、赤と白の椿の飾りに白の様で銀色に見えるその刃には、彼岸花の紋様が彫られていた、柄の部分はとてもシンプルであまり飾り気は無いが、全体的に和の雰囲気がありつつ、武器としての存在感もあるこの鎌は暁を惹き付けるのに充分過ぎる程で気がつけば暁はこの大鎌に、手を伸ばしていた
深琴:「武器、これにするの?」
暁:「あっえ、でもこんなに綺麗な鎌使えませんよ、自分の体のサイズとも合ってないし」
手に取る前に聞かれたので我に帰ることが出来た、でも一度触ってみたい、指で触れるだけ触れてみようと思い再度手を伸ばし鎌に触れたその瞬間、二人は光に包まれ武器庫全体にまで光が満ちる
その光は秋夜や兄弟達のいる武器庫の出入り口前にまで届いていた
黒月:「うわっ急に何だ!」
翠恋:「眩し・・・!」
口々に困惑の声をあげ、秋夜と、隅の方に居た翔は光の根源、つまり暁と深琴の居る、武器庫の最奥へ走り出して行った
ー連合武器庫 最奥ー
暁:「まぶっし・・・!」
深琴:「目の前真っ白で何も見えないよー!」
こちらはこちらで鎌から放たれる光のせいで前が見えず混乱していた
秋夜:「おい!何だこの閃光!」
翔:「あの鎌は・・・」
駆けつけた秋夜は閃光について問い、翔は光で前が見えない中で鎌を認識していた、そして数秒経って閃光が収まっていきやっと目を開けられる様になった
翔:「その鎌、どっから・・・」
暁:「指先が触れただけで発光しだして・・・持っては無いんですけど」
何かの拒否反応なのか、下手すれば目が潰れていただろうと思う程の強い光、何を示しているのか分からない、この鎌から放たれ武器庫を包んだ光は一体?
「何かと思って来てみたら・・・凄い事になってる」
誰かの声がした、秋夜でも翔でも美琴、暁でも無い、聞いた事のある声
翔、秋夜:「ボス」
ボス、と呼ばれる人物は連合内でただ一人、八神 照のみだ、どうやら武器庫の中が光に包まれた時、武器 霊式具の手入れをする職人たちの一人が連絡していた様で直々にここへ来たと言う、大まかな事情は話し終え「成程ね・・・」と言った後に、一言
照:「暁さん・・・それに”選ばれる”って凄い事だよ」
暁:「・・・?」
照:「その大鎌、”《紅葩紋》は所持する人を選ぶ”んだよ・・・」
武器が主を選ぶ、それはまるで式神が主を選ぶ様な事だと思った、詳しく話を聞きたいと言えば、こう話してくれた
[《大鎌 紅葩紋》は連合設立時に保存を言い渡された霊式具であり、唯一保有 権を決める事が出来る物、扱いたくても《紅葩紋》に選ばれなければ扱う事が 出来ない、だから今まで連合で扱えた人間、妖怪も、連合に預けられるまで扱えた者も居ない、そして必ず悪用しその刃を穢してはならない、だが保有者が決定づけられたその時は眩いまでの光が辺りを包むだろう]
そしてそれは「一種の言い伝え」だとも────
ー次回 選ばれし者ー
ーTo be continuedー