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星崎視点
僕は優里さんの勧めでUNOを買って、
大森さんたちとはその場で別れた。
「なんか優里さんの車乗るの、
すごく久しぶりです」
「まあな。
今日は羽を伸ばせたか?」
十分すぎるほどに伸ばせたくらいだ。
それでも律儀に確認してくれる、
優里さんの優しさが嬉しかった。
「はい⋯とても最高の一日でした」
ああ、
本当に楽しかった。
でも優里さんはそろそろライブツアーを控えているため、
またしばらくは会えなくなってしまう。
(寂しいな)
「拗ねてる?」
からかい混じりに優里さんがそう聞いてきた。
何でわかるの?ってくらい、
僕の感情にあざとく気づく。
こうして生身の状態でも、
寂しすぎてLINEを使ったビデオ通話の状態でも、
僕の変化を見逃さなかった。
僕の全てを知り尽くしていそうなほどだ。
まるで感情だけじゃなく、
心の中まで見透かされているみたい。
不思議とそれが嫌じゃなかった。
「そういえばどうしてた?」
会えなかった2年間を埋めるように、
ここ2年で起こったことについて、
それぞれ報告しあった。
もちろん楽しかったこともあったが、
初めての仕事で戸惑うこともあり、
少し大変だったこと、
現地のスタッフさんにフォローしてもらったこと、
仕上がりが良くて賞賛されたこと、
一つ一つ尽きることなく話した。
「上手くやってけてるじゃん。
えらいえらい」
そんな話をしているうちに車はアパートに着いた。
何だか楽しくてあっという間だったな。
僕がしんみりしていると、
優里さんが思い出したように何かを探す。
(何してるんだろ?)
アパートは目の前なのに心配だからと、
過保護モードの優里さんに部屋の前まで見送られる。
「今日はありがとうございました」
「おう⋯⋯⋯あ、
これ」
優里さんはそう言って何かを差し出す。
よく見ると車から降りる前に探していたものだ。
(CDショップのレジ袋?)
何だろうと不思議に思いながらも受け取り、
中身を確認する。
それを見て僕は驚きのあまり固まった。
「これ⋯限定盤のじゃないですか!?」
「去年ちゃんと祝えなかったからお詫び」
その言葉で誕生日のことだと察した。
僕は去年の誕生日ライブを自国のマレーシアで行っていた。
その頃優里さんは大阪でワンマンライブをしていたため、
忙しくて当日は会えなかった。
そのため翌日ビデオ通話で、
お祝いのメッセージを直接くれた。
「欲しいものあればSNSで繋がってるから、
LINEギフトで送れるのに俺の生歌が聞きたい!って、
誰かさんがプレゼントさせてくれなかったからな」
あ、
そうだ。
優里さんって意外と根に持つタイプだった。
その反応が可愛くて、
思わず笑いそうになるのを堪えた。
「だって優里さんの生歌ってすごく貴重でしょ?」
まだ何か言いたいそうにしている優里さんを静かに抱きしめる。
本当に欲しいものなんてなかったんだ。
忙しい合間を縫って僕に時間を分けてくれるだけで嬉しかったから。
一緒にいられるだけで十分だ。
その想いが伝わるように、
願いを込めて、
抱きしめる力を少しだけ強くした。
どこにいても大変な思いをしていても、
最も安心できる場所ーーー例えるなら、
優里さんは僕にとって、
『心のシェルター』
のような存在だった。
雫騎の雑談コーナー
はい!
ということでね。
裏話をしますと、
優里さんってなんか『紳士』ってイメージありませんか?
まあ個人的かつ勝手なイメージですが、
一緒に買い物したら諦めた方をプレゼントとか、
そういうキザったいことでも優里さんだと様になりますよね。
これが分かる!って人いるのかな?
そんな妄想を実際こうだったらいいなって願望と共に書きました。
賛否両論きちっと分かれそうな気もしますが、
読んでもらえるだけで嬉しいです。
それでは!
本編に行きましょうか。
優里のおかげで無事にUNOを買えて、
ただ家に帰るという何の変哲もない、
フツーの日常をえがいた一コマって感じの小説ですね。
めっちゃ短くてすいません。
あと星崎の楽屋でTASUKU、
深瀬さん、
優里さんの3人でUNOを使って遊ぶシーンも書きますからお楽しみに!