コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『星の英雄 ゲズとリオン』
第6章:封印の地へ
レファリエの夜空は、まるで星々が囁くように、静かに輝いていた。
その下で、ゲズとセレナは並んで歩いていた。
「……この先に、封印の祠があるの。
兄が言ってた。“そこに行けば、君はさらに強くなれる”って」
「強く……」
ゲズは、拳を握った。
リオンを救えなかった無力感は、まだ心に残っていた。
だが、セレナの隣にいると、ほんの少し、痛みがやわらいだ。
⸻
封印の祠には、星の守護者が残した“力の記録”が眠っていた。
しかしその手前――二人の前に現れたのは、ルシフェルの尖兵アグナ=ヴォルグ。
炎を操る獣のような戦士だった。
「鍵の娘よ。貴様の力は“主”のものである。今ここで、その命を差し出せ」
ゲズが立ちはだかる。
「だったら……俺を倒してから行けよ!」
激しい戦いが始まる。
ゲズの雷が炸裂し、アグナの炎が空を焼く。
だが、アグナは強かった。
一瞬の隙を突かれ、ゲズの肩を炎の槍が貫く。
「くっ……! ま、まだ……!」
意識がかすれたその瞬間――
雷が暴走した。
周囲の空気が裂け、稲妻が辺り一面に走る。
雷の紋章が赤く光り、ゲズの目から色が消える。
「ぐ……うおおおおおあああああ!!」
圧倒的な力に、敵も地も空も震える。
しかし、それはもはや制御不能だった。
そのとき――セレナが駆け寄った。
「やめて、ゲズ! あなたは……そんな力のために戦ってるんじゃない!」
彼女が手をかざすと、柔らかな水の結界が雷を包んだ。
光が静まり、ゲズはその場に倒れた。
「……ごめん……セレナ……」
「いいの。私の力は、サポートするためにある。
あなたが暴走するなら、私が止める。あなたが倒れるなら、私が支える」
セレナの瞳はまっすぐだった。
その瞬間、二人の絆が“真の共鳴”を果たした。
⸻
倒れたアグナは最後に、低くつぶやいた。
「ふふ……力を制する者……なるほど。
だが、主には……通じぬ……
ルシフェル様は……不死なる者……決して……死なぬ……」
そして、炎の中にその体を散らした。
⸻
セレナは静かに語った。
「ルシフェル……兄が最後まで名前を口にしなかった“真の敵”……
不死の存在。
それを倒すには、普通の力じゃ足りない。
封印の祠で、私たちに必要な“鍵”を見つけよう」
ゲズはうなずいた。
「リオンのために。星の未来のために。
――そして、お前を守るために」
空には再び、奇妙な星が浮かんでいた。
それはまるで、世界の終焉を告げる“黒い星”のように――。