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『星の英雄 ゲズとリオン』
第7章:封印の祠と絆の誓い
祠の扉は、星の紋章に反応して音もなく開いた。
中に広がっていたのは、空間そのものがねじ曲がったような神秘の領域。
「ここが……星の記憶が眠る場所……」
セレナの声は、空気に溶けるように響いた。
ゲズとセレナが足を踏み入れると、祠の内壁に刻まれた無数の光が反応し、中心に浮かぶ“星核(せいかく)”がゆっくりと回り始めた。
「試練が始まるわ……私たちの力と“絆”が、本物かどうか、試される」
⸻
突如、空間が変化し、二人はそれぞれ別の幻影に引き裂かれた。
―ゲズの試練―
ゲズの前に現れたのは、リオンだった。
「……また、お前かよ。もう……俺は……」
「まだ、逃げるのか? それでセレナを守れるのか?」
「俺は……俺は、あんたを守れなかった!! だから、もう誰も……!!」
リオンは静かに首を振った。
「違う。失敗は、お前を弱くしない。
“誰かを守りたい”って気持ちが、お前を強くする。
――お前はもう、独りじゃない」
その言葉に、ゲズの中で眠っていた“雷”が再び光を取り戻す。
⸻
―セレナの試練―
セレナの前には、幼いころの自分が現れた。
「あなたは本当に、誰かを助けられるの?」
「私は……非力よ。戦えない。力もない。
でも、それでも……!」
涙を流しながら、セレナは叫ぶ。
「誰かが傷つくくらいなら、私が盾になる!
力じゃない。私の“意志”が、誰かを救う!」
彼女の水の紋章が輝き、水の結界が星核を包み込んだ。
⸻
試練を乗り越えたふたりが再び出会ったとき、
星核から静かに語りかける声が響いた。
「絆を超えし者たちよ。汝らの願い、確かに受け取った。
星の封印、第一段階――解除完了」
ふたりの力はさらに強くなり、
セレナには“防御と回復の拡張能力”、
ゲズには“雷の新たな技:神速の雷鎖”が宿った。
⸻
帰り道、ふたりは夜空を見上げる。
セレナがぽつりとつぶやいた。
「……ルシフェル。
あの名前を聞くだけで、心が凍るの。
まるで、宇宙そのものが恐れてるみたい」
ゲズはそっと彼女の手を取った。
「大丈夫。お前がいる限り、俺は暴走しない。
お前がいる限り……俺は何度でも立ち上がれる」
⸻
しかしその頃、遥か遠く、漆黒の虚空にて。
巨大な玉座に座る一人の影が、うっすらと目を開けた。
「……目覚めよ、“次の尖兵”たちよ。
そろそろ“鍵”が動き出したようだ……」
その名はまだ語られぬ――ルシフェル。
静かに、終焉の気配が近づいていた。