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第2章 ななみざし
車内放送が流れて2分ほど経ち、1つの駅に停車する。
気がつくとホームに出ていた。辺りを見渡すが人がいる気配がない。
ふと足元に目をやると赤い水たまり、いや、血溜まりがいくつかあった。
向こうから誰かの足音が聞こえる、気になった私は改札口へ足を運ぶ。
「ーーーー!!」
おそらく女子高生だろうか、黒い影に襲われている。でも声は聞こえないし助けようにも何故か改札より先に行けない。
私はただそこで見ているしか無かった。
黒い影は逃げ回る女子高生を執拗に追いかけ、時折持っている刃物を振り下ろす。
逃げ回る女子高生だが、体力の限界が来たのだろう、スピードが落ちていく。その時、影が勢いよく女子高生に向かって刃物を突き刺す。白いシャツが真っ赤に染まって行き、倒れる。
しかし影は何度も刃物を振り下ろし突き刺す。
だんだん原型を留めなくなってくる、骨まで見えてきた。
何故か目が逸らせないが、嫌悪感は湧いてこない。
すると影はいつの間にか後ろにいた他の子達も刺していく、そこら中に血溜まりがあるのはあの所為かと直感で感じた。
数分おきにリセットされたかのようにまた同じ子達を刺し始める、すると発車アナウンスが流れ、私はまたいつの間にか電車の中に戻ってきていた。
???「…何か思い出した?」
青年が私に問う。
私「特には……」
???「そう…」
青年は呆れたような悲しそうな声で相槌をうつ。
何も思い出せてない、これは事実だ。
ただ…あの女子高生たちは既視感があるように感じた。
しかし思い出そうとすればするほど記憶にモヤがかかるような感覚になる。
流れに身を任せよう、再び電車に揺られる。
…気のせいだろうか、真っ白で何も無かった空間に何かが見えた気がした。
ただそれ以降目にすることはなく、静寂の空間が戻ってくる。青年も外を眺めており、お互いに会話もなく時間がすぎる、そいうえばこの人の顔も名前も知らない、気になった私は青年に問う、
私「貴方、名前はなんていうの?」
???「…覚えてない」
この子も記憶喪失なのかと自分の中で勝手に結論づけ、話を進める。
私「なんでずっとそっち向いてるの?」
???「…」
一向に答えが聞こえない、
私「…」
???「…」
これ以上この話題では会話が続かないと思い、また沈黙の時間がすぎる、
???「バッグ…」
私「え?」
???「中見ればなにか思い出すかもよ」
そういえばバッグ持ってたな…なんでだろ、
疑問に思いつつバッグを開ける。
何もないと思ったが奥の方に小さい本のようなものがあった。
私「学生帳…」
私のものと見られる学生帳が入っていた。
しかし苗字の部分が滲んで読めない。
私「遥…」
私の名前は遥らしい。
不思議としっくりきた。
ただ他の情報が見られない、全て滲んでいる。
まあ名前思い出せただけでも進展かな、
そう思った時、再度車内放送が流れた。
「ー次はさわだびらきー」
コメント
1件
第2話「ななみざし」、読ませていただきました🌷 冒頭の血溜まりと、女子高生たちが繰り返し襲われるループのような光景——視覚的な生々しさと、主人公が嫌悪感を抱かない異質な感覚のギャップがすごく印象的でした。声が出せずただ見ているしかなかったもどかしさと、記憶のモヤ。"遥"という名前がしっくりきた瞬間に運ばれる「さわだびらき」という駅名も、次の展開が気になります。青年の"覚えてない"の距離感も不気味で好きです。続きを静かに待っていますね✨