今日は、確かめると決めていた
目を覚まし、天井を見つめる
心臓の音が、やけに近い
同じ朝が来る
それが偶然かどうか
もう、確かめずにはいられなかった
起き上がり、装備を確認する
銃、通信機、双眼鏡
ストラップは右肩
ここまでは予想通り
扉を開けて外に出る
空気の冷たさ
足元の砂の感触
遠くで交わされる短い声
すべて、覚えがある
観測地点へ向かう道
意図的に歩調を変えた
いつもより遅く
一拍、間を置く
それでも
部下たちが合流する位置は同じ
時間も、ほとんどずれない
高台に着く
双眼鏡を構え、視界を走査する
敵影は薄い
配置も、昨日と同じ
小さく息を吐いた
次だ
本来なら、十分後に移動指示を出す
だが、今日は出さない
沈黙
部下たちは、こちらを見る
曖昧だった顔が、さらに整っている
線がはっきりし、輪郭が迷いなく続いている
誰かの顔だ
胸の奥が、嫌な音を立てる
三十秒、
一分
予定より遅れて、私は口を開く
「移動する」
声は、震えていなかった
結果は同じ
部隊は動き、次の地点へ向かう
時間も、配置も、ほとんど誤差の範囲
変えたはずなのに
昼
補給
休息
缶詰の種類まで、昨日と一致している
もう確信した
この一日は、再現されている
夜はまた 簡易ベッドに横になる
目を閉じる前、考える
もし、もっと大きく変えたら
もし、間違った命令を出したら
それでも、同じ結果になるのか
意識が沈む
目を開ける
冷たい空気
変わってしまった光の角度
うっすら聞こえる声
だが
起きる前から知っていた
今日もまた同じ一日だと
外に出る
部下たちが並んでいる
顔を見る
もう、曖昧ではない
目、鼻、口
個々の違いが、はっきりと分かる
そして
一人だけ
視線を合わせた瞬間
胸が、強く締め付けられた
理由は分からない
だが、その顔だけは
見てはいけない気がした
ぱッと視線を逸らす
それでも、分かってしまった
この再現の先には
決まった終わりがある
それを、きっと知っている
今日で、四日目






