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#地雷系
「ま・・・松下社長!さっきも言う様に彼女は元社長の妹でして・・・」
竜馬は佐竹や他役員の抗議を無視し、相変わらず鋭い視線をジェニに向けている
「これより後、役員も含め、神崎広告代理店の全社員は我が「メビウスホールディングス」の傘下として、共に成長してくことを望みます 」
竜馬がまるで値踏みでもするようにジェニを見る
「そのためには、雇用削減が必要であると判断すれば止むを得ません、我々は神崎広告代理店、メビウス共々、一番良い道を探す必要があります、まずは全ての事業部の会計報告書、全社員の給与所得表を公にする必要があります、そして感情論を抜きにした数字の上で判断し、約三か月の猶予期間の後、役員含め、全社員を対象とした人員削減を行います!」
思いがけない竜馬からの発言にザワッと役員達が騒ぎ出した、まさか自分達も削減の対象だということに度肝を抜かれている、ジェニは頭がくらくらした、三か月の猶予期間ということはとりあえず、当面は社員達は誰一人職を失わずに済む、しかし期間が短すぎる・・・
「役員の我々も人員削減の対象なんて、ご・・・ご冗談でしょう?松下社長・・・わ・・我々は・・・この会社の原動力ですよ?」
今や青ざめを通り越して、顔が灰色になった佐竹が、顔面引きつけを起こしながら竜馬に懇願する
「会社が危うくなると持ち株をあっさり売り捨て、平気で女性蔑視の発言をするような社員は問題ですね、他にもいろいろ調査が必要と判断しました、それに・・・ 」
「それに?」
ジェニも役員も同様、竜馬の次の言葉を固唾を飲んで待った
「株を売却したからと言って、僕はあなた達をそのまま役員のポストに置くとは一言も言っていません。ここにいらっしゃる役員の皆さんも、他の社員と条件は同じです」
役員の一人が椅子から転げ落ちた、ジェニは開いた口がふさがらなかった、そして有無を言わさず竜馬が次の指示を出す
「今日から神崎広告代理店全社員は、市内にある我が本社「メビウスタワーオフィスビル」に移転していただきます。21階のワンフロア50人は入れるオフィスを開けてあります。今からメビウス引っ越し管理チームの指示に従って、引っ越し作業に取り掛かってください 」
一斉に会議室の外でも人がザワつく音がした、犯人は誰か想像がついた、ジェニの社員達がこの会議を盗み聞きしているのだ
「あの・・・うちはずっと・・・ここで―」
ジェニが小さな声で言おうとしたら、竜馬に遮られた
「このオフィスビルは来月解体工事に入ります。ビル本体が老朽化して危険を伴っています。君は直ちに社員を統括し、速やかに引っ越し作業を終えて本社で業務に励むようにしなさい」
ゴホンと軽く咳払いをして、慎ましく佐竹が立ち上がって言った
え~・・・コホンッ
「それでは・・・この私が会社の経営状況についてゆっくり説明させていただきましょうかね?松下社長」
「いいえ、それには及びません。神崎ジェニさんにその役目が務まると思いますので」
―え?私? ―
驚いて口が聞けないジェニ、すると竜馬の左隣に座っていた男性が口を開いた
「神崎さんのプレゼンテーションを拝見させていただきます。そしてあなたの部署を引き継ぐ我が社のチーム長にもあなたのプレゼンテーションをPDFで送ってもらいます。バランスシートを見る限り、トータルではまったく業績が上がっていないのに奇跡的な利益率を叩き出している部署があります。その説明もしてもらえそうだ 」
そう言った灰色の細身のスーツの男性が、銀縁眼鏡を少し上げ鋭い瞳をジェニに向けた
「申し遅れました。財務部長の浜田と申します 」
その男性の冷たい視線に射すくめられ、ジェニはどういう訳かうなじがゾクゾクした
シルバーの細身のスーツ、栗色の髪、角張った顎、銀縁の細い眼鏡のせいで、財務部長と名乗る彼の表情は、どうにも無情に見え、どんな金銭の矛盾も見逃さないという顔つきをしている、怒らせると怖そうだ、ジェニはこの人に会社の財務事情を明らかにするのは少し怖いと思った
竜馬の右隣にいた文也が立ち上がり、ツカツカと入り口に向かうと、会議室の観音式になっている扉を勢いよく両手でバンッと開けた、途端に「キャー―ッ!」という悲鳴と共にジェニの社員達が蜘蛛の子を散らす様に退散した
どうやら全社員がここに集まっていたようだ、逃げて行く社員の群れの中に藤子のライラック色のスーツをジェニは見つけた
「聞いただろ?!引っ越しの準備をするんだ!2時間後にメビウスの引っ越しチームとバスが来る、乗り遅れたヤツは置いて行くぞ!」
文也が大声で逃げて行く社員達に叫んだ、なにやら向こうでジェニ達の社員がキャァキャアと騒がしい、それを面白がる様に文也がわずかに口元をほころばせた、エクボが可愛い
「あくまで我が社は優秀な社員を解雇するつもりはありません、だがこれは慈善事業ではない、「人員削減対象リスト」は本日から様々な部署の情報を集めて作成されます。メビウスホールディングスの組織を合理化する必要があります!三か月後には役員はじめ、本気で我が社にベストを 尽くす社員しかいなくなることでしょう。以上!!本日の会議はこれまでです。それから神崎ジェニさんは二時間後に本社の私の社長室まで来てください 」
ジェニを見つめる竜馬の黒い瞳に軽蔑の色がありありと浮かんだ
委縮するまいと思っても、この何もかもお見通しという瞳に見つめられると何も言えなくなってしまう・・・ジェニは何か反撃する言葉を言いかけたがもう何も思いつかなかった
「わ・・・私の会社は・・・ 」
そう言いかけて竜馬が遮った
「君の会社は我が社にもう買収されたんだ、「神崎広告代理店」はもう無い、「 メビウス・ホールディングス」へようこそ、神崎ジェニさん 」
コメント
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お疲れ様です、寺島あおいです🤍 第8話、一気に引き込まれました。冒頭から竜馬さんの“値踏みするような視線”が怖いほど印象的で、買収された側のジェニさんの無力感がビシビシ伝わってきました。特に、財務部長・浜田さんの冷ややかな描写がすごく上手で、この先の展開にゾクゾクします。文也さんのエクボほころばせるところでちょっと和めたのも絶妙でした。続きがすごく気になります!✨