テラーノベル
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「ひよりん! パパが来たぞおおお!!」
ドオァァン! と、試着室前のドアが蹴破らんばかりの勢いで叩かれた。
「なっ……!?」
「パ、パパ!?」
僕が慌ててカーテンから飛び出しドアを開けると、そこには高級スーツを鎧のように纏い、背後にクールな美貌の秘書を従えた男――白石さんの父、大五郎さんが仁王立ちしていた。
「おい、春川! 貴様、こんな地味なホテルでひよりんに式を挙げさせるつもりか! 天井が低い! シャンデリアが暗い! 娘の美しさに追いついていない!」
「……!?」
お父様は僕の困惑を完全無視し、手帳を広げた秘書にマシンガンのように指示を飛ばす。
「いいか、政財界の重鎮は当然として、ゲストは最低300人。今すぐパリから一流のデザイナーを派遣させろ!」
「ちょっと待ってよパパ!! 勝手に決めないでよ!!」
さっきまで僕を誘惑していた「清楚な皮を被った悪魔」が父に詰め寄った。どうやら白石さんのお母さんから情報を聞きつけて駆けつけたらしい。
「だいたい、300人ってなに!? 私は身内と友達だけのアットホームな式にしたいの!」
「ひよりん、これは投資だ! 我が娘の門出を豪華にせずして、何が経営者か!」
「パパは邪魔だから帰って! 私は陽一さんと二人っきりで見て回るから!」
「そんな……ひよりん……」
娘の冷徹な一撃に、先ほどの覇気が嘘のように項垂れる大五郎さん。僕は、ただただ冷や汗を拭うことしかできなかった。
#溺愛
#再会
#ワンナイトラブ
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