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昨夜のにぎやかなダブルデートから一夜明け、それぞれのカップルはさらに踏み込んだ時間を過ごすべく、趣の異なる場所へと足を運んでいた。### 【童磨 × しのぶ:神経戦のスイートルーム】
「しのぶちゃん、見てよ! この部屋、ライトが紫でしのぶちゃんの色にぴったりじゃないか」
はしゃいでふかふかのベッドにダイブする童磨を、しのぶは入り口で腕を組み、冷ややかな目で見下ろしていた。
「……何が悲しくて、収録明けにあなたとこんな密室に監禁されなければならないんですか? そもそも、この部屋の設備、私の調剤セットを置くスペースが狭すぎます」
「えぇっ、ここにきてまで毒を作るつもり!? せっかくの休憩なんだから、俺の愛に毒されてよ」
童磨が起き上がり、いたずらっぽく手を伸ばして彼女の腰を引き寄せる。しのぶは一瞬眉をひそめたが、彼が心臓の音を確かめるように胸元に顔を埋めると、ふっと力を抜いた。
「……心臓、動いてるんですね。撮影の時はあんなに冷たかったのに」
「生きてるからね、俺。しのぶちゃんがあまりに可愛いから、今、脈拍がすごいことになってるよ?」
「嘘をおっしゃい」
しのぶは毒づきながらも、彼の金色の髪にそっと指を通した。そこには殺し合いの義務も、絶望的な使命感もない。ただ、騒がしくて仕方のない男の体温だけが、静かな部屋に響いていた。
一方、黒死牟と蜜璃が選んだのは、最新設備を備えつつも古風な趣を残す和室の離れだった。
「わあ……! 黒死牟殿、見て! お風呂がヒノキよ! それに、冷蔵庫の中にアイスがこんなにたくさん!」
蜜璃が子供のように目を輝かせてはしゃぐ姿を、黒死牟は柱の陰でじっと見つめていた。その手には、なぜかまだ刀(小道具)が握られている。
「……蜜璃。この場所は、敵の奇襲に対する備えが甘い。……だが、布団の質感は……悪くない」
「もう、黒死牟殿ったら真面目すぎ! 今日は戦いなんてないのよ。ほら、一緒に座って?」
蜜璃に手招きされ、黒死牟はぎこちない動作で畳に腰を下ろした。六つの瞳が、幸せそうに微笑む彼女を多角的、かつ精密に捉える。
「私は……これまで、ただ強さのみを求めてきた。……だが、其方とこうして対峙していると……何故か、胸の奥が熱い……。これは、痣の発現とは違う感覚だ……」
「それはね、黒死牟殿。きっと……愛よ!」
蜜璃が真っ赤な顔で彼の胸に飛び込むと、黒死牟は一瞬驚いたように固まったが、やがてゆっくりと、その大きな手で彼女の背中を包み込んだ。
「……愛、か。……悪くない。無限城の虚無に比べれば……この温もりこそが、私の求めていた真理なのかもしれぬ」
かつて剣鬼と呼ばれた男の顔が、蜜璃の柔らかな香りに包まれて、少しだけ穏やかな人間のそれに近づいていた。
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れもんてぃ🍋
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