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「さあ、神様! 妖怪の山の恵みと、俺の白だしが合体した『特製・神様ちゃんこ』だ!」
俺がシェラカップで出汁を回しかけ、山菜や猪肉、にとりが持ってきた巨大な豆腐を煮込んでいると、御柱の影からひょいと、ZUN帽のような帽子を被った小さな少女が顔を出した。
「……ふーん。神奈子が一人で美味しいものを独り占めしようとしてるって聞いて、遊びに来ちゃった」
「あ、諏訪子! あんた、いつの間に……」
守矢神社のもう一人の神、洩矢諏訪子だ。彼女は不敵に微笑みながら、俺の鍋を覗き込む。
「私は神奈子みたいに単純じゃないよ? 私はカエルだからね、水と出汁の質にはうるさいんだ。……ねえ、料理人の男の子。このスープ、私の『土着神の舌』を満足させられなかったら、あんたをこの沢の主にしちゃうけど、いい?」
「ひ、ひえぇ……(不老不死で一生カエルは勘弁だぜ)」
俺が冷や汗を流していると、さらに後ろから「神奈子様! 諏訪子様! 私を置いて行かないでください!」と、息を切らした早苗が駆け寄ってきた。
「あ、あなたは! さっきの白だしの……! 霊夢さん、まだ勝負はついていませんよ!」
「勝負も何も、あんたたちの神様が今、私の居候の飯に鼻の下伸ばしてるじゃない!」
現場は一気に守矢VS博麗の全面対決、もとい**「白だし試食会」**の様相を呈してきた。
「いいでしょう。私も外の世界の人間として、この『出汁』の完成度をジャッジさせてもらいます!」
早苗が懐から、なぜか自分用の「お箸」を取り出した。やる気満々だ。
「よし……それじゃあ、神も巫女もまとめて黙らせてやる! 全員、器を出せ!!」
俺は白だしの香りが最高潮に達した瞬間、黄金色に輝くスープを、神奈子、諏訪子、そして早苗の器に注ぎ分けた。
「……いただきますっ!!」
三人が同時にスープを口に含む。 瞬間、妖怪の山に静寂が訪れた。
「…………っ!!」
神奈子の背後の注連縄が、旨味の衝撃でブワッ!と逆立った。 早苗の目からは、懐かしさのあまり涙がこぼれ落ちる。
「……なに、これ。ただの白だしじゃない。この後味のキレ……まるで、信濃の清流が口の中で踊っているみたいだわ!」(早苗) 「……神奈子が夢中になるわけね。これ、信仰を捧げる価値がある味だわ。特にこの、素材の味を引き立てる絶妙な塩梅……!」(諏訪子)
諏訪子が満足げに目を細めたその時、彼女が俺の手をじっと見つめて言った。
「……ねえ。あんた、不老不死になったんでしょ? ……それ、すごく面白いわ。ねえ神奈子、この子、守矢神社の『御供物奉納大臣』に任命しちゃわない?」
「えっ!? ちょ、ちょっと待て! 俺は博麗神社の……」
「いいわね! 毎日これが食べられるなら、博麗神社に半分くらい信仰を返してあげてもいいわ!」
「勝手に決めないでよ!!」
霊夢の絶叫が山に響く中、不老不死の高校生料理人を巡る「神様たちの引き抜き工作」が始まってしまった。