その夜。家の中は静かだった。
瑠姫はリビングの床に座り、ぼんやりと窓の外の暗さを眺めていた。
時計の針の音だけが、部屋で響く______
もう泣き疲れていた。
まばたきをするたび、目の奥がじんじん痛む。
瑠「……っ」
そのとき。
スマホが小さく震えた。瑠姫は息を止める。画面に浮かんだ名前。
『拓実』
胸が、跳ねた。けれど、指はすぐに動かせない。怖かった。
そして、ゆっくり開く。
ー拓実からのメッセージー
拓「……るっくん」
たった4文字なのに胸に刺さる。続きを見る。そしてまた震える。
拓「ごめん」
瑠姫の指が震えた。返事を書こうとして、消して、また書いて、消して。
瑠「……違うよ。」
その言葉を、ちゃんと伝えなきゃいけないと思った。
瑠「拓実が謝るんじゃない……俺が……」
でも文字にはならなかった。代わりに、震える手で通話ボタンを押した。
呼び出し音が長く鳴る。
——そして、繋がる。
ー通話ー
拓実の声は掠れていた。泣いたあとの声だった。
拓「……るっくん?」
瑠姫は唇を噛んで、少しだけ息を吸った。
瑠「……拓実、どこ?」
拓「友達の家。」
声が弱い。消えてしまいそうだった。瑠姫は少しだけ目を閉じる。
瑠「……帰ってこいとは言わない。でも……声は聞かせて。」
沈黙が落ちる。
拓「…るっくんの声……聞きたい。でも俺、今の顔見られたくない」
瑠姫の胸が苦しくなった。
瑠「俺だって同じだよ。お互いボロボロで……それでいいじゃん。」
拓実は小さく息を呑む。
拓「俺、、るっくんのこと、好きすぎて怖かった。失うのが怖かった。だから泣いた。ごめん。」
瑠姫の目がまた熱くなる。
瑠「怖いのは俺も一緒だよ。でも……離れたらもっと怖いよ。」
電話の向こうで、拓実が息を震わせた。
拓「るっくん、、俺帰ってもいい…?」
その一言で全部、崩れた。瑠姫は声が震えて止まらなかった。
瑠「帰ってきて拓実、、、、、お願い」
拓「うん……今、帰る。すぐにな」
小さく、涙に溶けた返事。通話が切れる。瑠姫は玄関へ走った。
靴の音、ドアノブの音、心臓の音。
全部が混ざっていた。
震えながら玄関でドアを開けて待つ。
ー帰ってくる音ー
足音が近づく。瑠姫は息を止めた。ドアが開いた。
拓実は、そこにいた。
目は真っ赤で、頬は濡れていた。お互い、何も言えなかった。ただ、同時に走り寄って、
胸の中に抱き合った。
力いっぱい。
離れられないくらいに、強く。
瑠「拓実……拓実っ」
拓「ごめん…離れたくない、、っ」
瑠「離れないよ……絶対」
拓「怖かった、、るっくん、、」
瑠姫は背中をさすりながら、目を閉じた。
瑠「俺も。でも、もう大丈夫。ここにいるから。」
拓実は瑠姫の胸に顔を埋めたまま、震えて泣いた。
その涙は、やっと帰ってきた証だった。
END
つづく。
ごめんなさい!!朗報かどうかわからないけどPart8まであります!笑
みたい人は見てねー!(今日、明日で全部あげます!)
コメント
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はい。号泣案件😭😭