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あれから4年という月日が流れた。マナは現在大学4年生。つまり4年前、緑ヶ丘学園高等学校を無事に卒業し、大学に入学したということだ。そしてマナは、あと半年で卒業の予定だ。一方俺も両親に薦められて入ったT大学の4年生をやってる。
また、ゆずきだが短大卒業後、東京で国税専門官として働き始めた。だから今は実家を出て、東京で独り暮らしをしながら働いている。
また、俺もマナも大学に進学するにあたり、独り暮らしをする予定になっていたけど、お互いに大学が近いという点や、マナの母親からマナの面倒をどうしても見て欲しいとお願いされた結果――マナの両親が勝手に2人で住むアパートを用意してしまった。こうして俺とマナの同棲?というか2人きりのシェアハウスが始まった。1つ屋根の下に男女が2人切りでいたら、普通何があってもおかしくはないけど、全くなかった。マナは俺のことを男として見ていないみたいだし、学生の頃から何でも頼めば何でもしてくれる便利屋か召し使いくらいにしか思っていないから何も起きるはずはなかった。俺だって男だから女性と2人切りでいたら感情が高まるし、欲望を抑えられなくなる時もあるけど、俺をそんな風にしか見ていないマナに、手を出す訳にはいかなかった。そんな俺の感情をよそに、マナは寂しいと言って、テレビを見る時も、ソファーでくつろいでいる時も俺の隣にやって来ると、くっついて離れなかった。
「圭ちゃん、一緒に寝ていい?」
しかも寝る時でさえ、俺の布団に入って寝る時がある。さすがの俺も初めの頃は、マナのいい香りや柔らかい体の感触に、ドキドキして眠れなかった。それに、1度寝たら雷が鳴っても、地震が起きても目覚めないマナだから、眠っている間ならキスをしても体を触っても絶対にわからないだろう。でも俺には出来なかった。俺が何もしないと信じて傍にいるマナの心を大切にしたかった。
家の中のことはというと、料理と掃除洗濯など家事全般は俺の担当で、マナの担当と言えば風呂のお湯を張るぐらいだった。
それにマナは大学では、それなりに授業には出席していたし、単位も順調に取得していたので、3月になれば無事に卒業出来る予定だった。とは言っても、現時点で真面目に就職活動をしているようには見えなかったし、する気もないのが現実のマナの姿だ。
「圭ちゃん、大学卒業してもここにいていい?」
「いてもいいけど、就職はどうするんだ?」
「しないよ。する訳ないじゃん。適当にバイトして遊んで暮らしてる方がいいもん」
「お前なぁ――」
「ずっと私の面倒みてよね」
「何だよそれ――」
半年前に、そんな会話をしたのを鮮明に覚えている。きっとあれは冗談ではなかったと思う。そんなマナの面倒を見ている俺に恋など愛など言っている暇はなかった。またの司法試験に向けて1日5時間以上は勉強をしなければならなかったので、キャンパスライフを楽しむ余裕など全くなかった。逆にマナは自由奔放な人間だから俺の知らないところで男と遊んでいる可能性はない訳ではなかった。大学に入って1年くらいはどこにも寄らずに家に真っ直ぐに帰って来ていたけど、2年になってからは新しい友達ができたのか、頻繁に出掛けるようになったし、時々帰りが朝方になる時もあった。