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「…誰もいねぇな」
相変わらず騒がしい外とは裏腹にシン…と静かな。この廃ビル
恐らく全員が戦闘に参加しているのだろう
一般人ならまだいいとしても、俺がいる中で目を離したのは間違いだったな
カツン…カツン…カツン……
錆びた鉄と化した階段が耳に刺さる様な音を鳴らす。足音を消そうしてみるが流石にそんな棒スパイアニメみたいな事は出来ない
「…ぁ」
「あ」
そのうるささは人1人を起こすのには十分だった
「…えっと、ッス……」
「…おはよぉ…ございます……?」
ヤッベー気まずッッ!
そんな声を押し殺して心の中だけにする
こんな状況で、いや、別に攫われてるからしょうがないが。お姫様抱っこ…いやまぁ…その…
いやまぁしょうがないのだ
実際目の前の張本人がそんなに気にして無さそうなのだ。まぁ実際寝起きだからかもしれないが。
気にしてないという事実は変わらない
「ッ……葛葉さん侵略者降りますッ!」
「ぁ”ー…ちょっと待って下さい!」
大丈夫だ俺よ。
先程までは
気にして無いのだから。うん。
「…試してみたいことがあるんです」
「…この体制でしか無理ですか…?」
「…自分で飛び降りれるなら……、」
「コレでダイジョウブデス…」
飛び降りるの言葉で全てを察したのか
口をキュッと噛み締めて俺の袖を握りしめる
そう、俺がしようとしてる事。それは。
この屋上から飛び降りる。という事だ
もちろんとおこさんに対して負担は凄い
そして俺の負担もまぁまぁデカイ
だとしても一か八かだ。そもそも外の音を聞く限りまだまだ戦闘は続きそうなんだよな。
警察。救急隊。そして鴉。
その3つに匹敵する戦力を持つという事
どうやら俺達はだいぶヤバい奴に目をつけられたらしい。
カツン…カツン…カツン……
ガチャッ
「ッ…風強ッ」
「…ホントに飛ぶんですね」
「怖いっスか?」
いや、怖いに決まっている
空から自主的に飛ぶんだ。命綱無しで。
体が空気を裂くあの感覚。
息をする間もなく口の中に酸素が入ってくるあの感覚。
きっとそれを経験した事ないとおこさんにとっては
凄く怖いだろう
「いや…怖いっスよね」
「…もちろん。怖いですよ?」
「だけど…だけどッ…」
「私はここで死ぬ方が…
葛葉さんが居なくなる方がずっと怖いですッ」
「え”ッ」
「あ”ッ…そういう意味ではないんです!!」
熱い。ものすごく。
何故だろう。本来は心細くて、寂しくて、寒い
冬みたいな筈なのに
「わかってます…ッ」
「はッ…はいッ…」
「「…」」
扉の外に出れば、俺達だって銃弾の的だ。
とおこさんだってそれは分かってる
だから赤かった顔も、青ざめて来てる
「…運ですか?コレ」
「運っスねぇ。コレ」
「…行きますよ?」
「はいッ…! 」
ダッ…!