『繫縛の楔』〜私はこの檻から逃げられない〜
終鎖 『逃げ出した駒鳥…?』
〜TRUE END〜
朝――。
『……ふぅ。ありがとう。主様。気持ちよかったよ♡♡』
『またすぐ来てくれる…?ベレン。』
『うん♡♡でも順番だから長くなるかもだけど。』
『待ってるね。』
『うん。またね。』
バタンッ。コツコツ……。
『……。よし、今だ。』
ガシャンガシャンッ……。
私は食事の時隠し持ったナイフで鎖に傷をつける。
『少しでも弱らせれば脆くなって外れるはず……。』
私は薬の洗脳が弱まり、ここから出ることを考えていた。
『もう、身体はボロボロ…。だけど、心まではあげない。私がみんなの目を覚まさせなきゃ。』
私は無我夢中で鎖をナイフで傷つける。
次逃げて…捕まったら前みたいだ事じゃ済まないかもしれない。それでも私は――。
『ここから逃げたい。』
足枷と手枷を外されるタイミングは
お風呂の時だけ。明日の夜にフェネスが来るはず。その時にここから逃げるしかない。
それまでは――。洗脳されてる振りをしなきゃ。
その日の夜――。
コンコンッ。
『!』
ガチャ
『主様♪お待たせしましたっす♪』
『アモン!』
私はアモンに歩み寄りハグをする。
『寂しかったんだよ?』
『ごめんなさいっす。俺も早く会いたかったっすよ。』
『早くいつもみたいにして……?』
『はいっす。』
ドサッ
アモンをベットに誘導する。
『あ、そうっす。今日は主様にプレゼントがあるんすよ。』
『プレゼント?』
『香水っす。』
『香水?』
『俺の育てた薔薇で抽出して作ったんすよ。』
シュッ
『甘い香り…。』
『そうっすよね。気に入ってくれて嬉しいっす。』
『ありがとう。アモン。大事にするね。』
『あ、でも一つだけ気をつけて下さいっす。』
『?』
『自然由来のものなんで、目に入ると充血しちゃうんで、気を付けてくださいっす。』
『分かった。ありがとう。』
『主様…いいっすか?』
『うん。いいよ。』
アモンは優しく私にキスをする。
『ん…///』
『ん……可愛いっす…主様。』
『アモ…っ。もっと…っ。』
アモンの首に手を回して縋る。
『今日の主様は積極的っすね。』
『こんな私じゃ嫌?』
『寧ろ可愛いっすね♪』
『良かった♡♡』
(みんなが私に甘くて良かった。このまま騙し続けないと。)
『まぁでも……怪しいとは思うっすよ。』
『……!』
『前までは俺に愛撫してもらうだけだったのに。もしかして…。油断させて逃げようとか…。』
(流石だね。アモン。でも、そう簡単に暴かせない。)
『ぅ…っ、ぐすっ。』
『!!』
『なんで、そんなこと言うの…?私、こんなにもアモンのこと…っ。』
『ご、ごめんなさいっす!泣かせるつもりは……。そうっすよね。主様がそんなことする訳ないっすよね。』
『…泣かせた罰。朝まで可愛がってよ。』
グイッ
アモンをベットに押し倒す。
『ふ…っ。分かりましたっすよ。俺の主様――♡♡』
翌朝――。
『ふわぁ…。』
『すぅ。すぅ…。』
(香水…。目に入ると充血…ね。)
『アモン。ありがとう。』
(私の脱出の糧になってくれて♡♡)
『主様ァ…♡♡』
『ふふ。大丈夫だよ。私はここにいるからね。』
私はベットから降りて香水をポケットにしまう。
コンコンッ。
ガチャ
『主様。おはようございます。』
『おはよう。ベリアン。』
『おや、アモン君が居たんですね。主様。後で私もよろしいですか?』
『うん!もちろん。』
『朝ごはんをお持ちしますね。』
『ありがとう。』
バタンッ。
『ほら、アモン。朝だよ。』
『ふわぁ……。』
『おはよう♡♡』
寝ぼけ眼のアモンにニコッと微笑む。
『おはようございますっす。主様。』
『ほら、早く服着て。』
『は、はいっす。』
私はアモンを急かす。
『またね。』
『はいっす。また。』
バタン。
ガシャンガシャン…ッ。
『よし……。夜までにこれを壊しておかないと。』
私は一心不乱に鎖を壊す。
そして、夜――。
コンコンッ。
『主様。』
ガチャ
『お風呂の時間です。手枷を外しますね。』
『……。』
『次は足枷を……。』
フェネスが私の足枷を外そうとした。その時――。
『あれ…?なんで外れ――。』
ガシャンっ!
私は勢いよく鎖を弾き飛ばした。
『っ!主様…。また逃げるつもりなんですか?無駄ですよ。また捕まえて……。』
シュッ!!
私はフェネスの目を目掛けて香水をかける。
『あ…っ!!』
フェネスは目を押えて悶絶する。
ガチャっ!バタバタ…っ!!
私はドアを開けて屋敷の門を目指す。
『主様!?っ、ベリアンさん!主様がっ!!』
『っ、ロノ君!バスティン君!エントランスの扉の前に…!!』
『『はい!\あぁ!』』
ザザッ…!
『ロノ…バスティン…っ。』
『行かせませんよ。主様。』
『痛い思いをさせたくない。戻れ。』
『ここにいるくらいなら…死んだ方がマシ。』
シュッシュッ
2人の目に香水を振り撒き2人を置いて扉を開ける。
『『うぐっ!!』』
ギィィ…!
『はぁ、はぁ…っ!』
『…そうですか――。もう優しく連れ戻すのは飽きたのですね。いいでしょう。』
私は双槍を持ち引きずりながら追いかける。
『薔薇の蔓…どうやって解けば…。』
(考えてる時間はない。急いで切らなきゃ。)
私はナイフを取りだして1本1本切っていく。
ブチッブチッ…!
『早く、早く…!』
ガチャ…
門の扉が開いた時だった。
『やっ…!』
ビュンッ!
グサッ!
『あっっ…ぅ…!!』
脚に矢が刺さる。
ドサッ
私は地面に倒れ込む。
『お見事。フルーレ君。』
『フルーレ…っ。』
『腱を射抜いかれたので神経が通らないのでしょう?』
『る、カス……っ。』
『いい子にしていれば痛い思いせずに済んだのに……。』
ザッザ……。
『主様…。』
『ベリアン…。』
『悲しいです。主様を手にかけるなんて。でも、主様がいけないんですよ……?』
ベリアンは片手に双槍を持っていた。
『え…?それで、何を……っ?』
『もう片方の足も使い物に出来なくしましょう。』
『嫌、やだ、やめて…。』
『脚が無くなっても。愛していますよ。』
『嫌、嫌…!いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
『――。』
私は磔にされていた。
『腱は斬りましたし、薬も普段から投与していますからこれで完全に――貴方は檻の中ですね。』
『ぁ、ぅ、べり、あ…っ。』
『はい♡私はずっと…ここにいますよ。』
逃げようとした駒鳥は…飛べる羽をもがれ…希望は絶たれた。可哀想な駒鳥――。
羽が生え変わるのは――もう二度とないかもね。
次回
終鎖 『逃げ出した駒鳥のその後の行方』
〜Normal END〜
コメント
2件
更新ありがとうございます♪ 本当に素敵な作品すぎて毎日携帯が離せませんでした汗 次回も楽しみにしてます♪