『繫縛の楔』〜私はこの檻から逃げられない〜
終鎖 『逃げ出した駒鳥のその後の行方』
〜Normal END〜
※檻から逃げられたversionです。
前回のお話のTRUE ENDを見て頂くとより楽しめます。
私はフェネスに香水を浴びせ、部屋を飛び出す。
『はぁ、はぁ……!』
(真っ暗…。だけど、蝋燭の微かな灯りで何とか見える……!)
バタバタ…ッ!
ガチャッ。
『っ…!』
『こんばんは。主様。こんな夜遅くにお散歩ですか?』
『ハウ、レス…。』
『いけません。早く部屋にお戻り下さい。』
『っ、嫌…。私はみんなの思い通りにはならないよ。』
『…そうですか。それなら力ずくで痛め付けましょうか…。』
ハウレスは私に向かってくる。
私はすかさず廊下の花瓶を持ち、ハウレスにかける。
バシャっ!
『冷た…っ!』
バタバタ……っ!
『ここの階段を降りれば…っ。は…っ!』
『おやおや。主様。どちらへ?』
『いけませんよ、こんな夜中に出歩いて。』
『悪い悪魔に食べられちゃうぞ?』
『ユーハン…テディ…ハナマル…。どうして…っ。』
『見回りをしていたナックさんが異変に気付いて知らせてくれたのです。さぁ。部屋に戻ってくださいね。』
『っ…。』
(エントランスの扉を開けて門まで走れば逃げれるのに。ここまで、来たのに…。)
『…檻の中に戻る位なら私はここで死ぬ。』
『『『っ!?』』』
ヒタ…。
私は持っていたナイフを首元に当てる。
『っ、お止め下さい!主様!』
『それ以上来ないで!みんなにとって大切で…大好きな主様が死んじゃうよ?』
『く…っ。』
『道を開けて。じゃないと……。』
ナイフを持つ手の力を込める。
首からはつぅ…と血が滴る。
『ユーハン。一旦下がれ。どうせ門には薔薇の蔓があるんだ。逃げられないよ。』
『そう、ですね…。』
3人は私から少しづつ離れた。
私はゆっくりと階段を降りる。
ギィィ…。
エントランスの扉を開け、外に出る。
『お迎えに行きましょうか。可愛い私達の主様を。』
『はぁ、はぁ…!』
ブチッブチッ…!
ナイフで蔓を切っていく。
『後、少し…!』
ブチッブチッ……!!
全ての蔓が切れる。
そして、門が開かれた。
『開いた…っ!』
『主様っ!!』
『っ!』
後ろから聞こえた声に足が止まる。
『行かないで下さい……。貴方が居なくなったら私達は――!』
『……。さよなら。ベリアン。』
私はつぅ…と涙を流し、森の中を駆けていく。
『待って、ください。主様。主様――!!!』
私は一心不乱に無我夢中で森を走った。後ろを振り向かず、ただひたすらに。
その後のことは…よく覚えていない。
𓏸年後――。
私は気付けば西の大地まで走っていたのだ。
そして、そこにある街の人達に救われ
私は1人、家の中で密かに暮らしている。
みんながどうなったのかは分からない――。
だけど、時々思う。あの時捕まっていたら――どうなっていたのかな。って。
コンコンっ。
『は、はい。』
家のドアを叩かれ、ドアを開ける。
『𓏸𓏸さん、お客さんが来てるわよ。』
『お客さん?』
『なんでも、中央の大地の執事さんらしいわ。貴方に用事があるって…。』
『っ…!』
昼下がり――。影から見えたのは――。
悪魔の顔。
『お迎えに上がりました。主様――♡♡』
to be continued…??
コメント
8件
お時間あればお願い致します。ぷち様が作る話は全部素敵です💓
そうですね…私としては読者の方それぞれの解釈にお任せしたいと思ってますね
ありがとうございます♪学校終わりに読ませていただきました!ちなみに何ですけど、主は捕まったんですか?この先も番外編みたいなので書いていただけないでしょうか汗