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〈ななっし~視点〉
「はぁっ、はっ、はっ」
俺は屋上までの階段を全力で駆け上がっていた。
俺はこの学校の生徒じゃない。
けど忍び込んでまでやることがあった。
間に合え、間に合って
「っう、はあ!」
屋上の扉を勢いよく開ける。
地面は激しい雨が打ち付けられている。
そして柵から、身を乗り出そうとしている人が居た。
「…さもさん!」
振り返ったさもさんは、まるで信じられないと言いたそうな、驚いた顔をしていた。
「…ななっし~」
ぼそっとした声に、俺は何も言えなかった。
こうして離すのは五年振り。
だから何を話せばいいのか分からなかった。
ただ、さもさんがこうして飛び降りようとしていることを知って、居てもたっても居られなくて考える前に体が動いていた。
「…ほっといて」
長い沈黙の末に、さもさんは俺を突き放した。
…そんなこと、出来るわけがない。
俺は柵の下に視線を戻したさもさんの体を、後ろから抱き締めた。
「っ…は」
さもさんは俺から逃れようともがく。
「なんで!なんでだよ…」
俺は抱き締める力を強くする。
「…さもさんには、生きてほしいんだよ。俺の我が儘。」
「っ…!」
「…ねえさもさん、俺、絶対さもさんのこと幸せにして見せるから。」
俺はさもさんにキスをした。
「俺と付き合ってください。」
コメント
1件
重い話どんどんアイディア浮かんでくるのなんなんだ…