葵side
この間の事を考えると、どうやら自分はあの饅頭達をボコるのが好きらしい。が、紫が飼っているあかりさんにはそういう気持ちは無い。いや、あるのかもしれないがてんさんに向ける気持ちの千分の一程だ。
今だって一緒にアイスを食べているが全くイラつかない。理由を考えたところ、てんさんは見下してくるうざい饅頭だったからだと気がついた。それと同時に、紫がなぞの本を読んでいるのが目に入った。
「それ、何読んでんの?」
「ゆっくりの飼い方ですね。ゆ虐の本も貰いましたけど,,,いります?」
「せっかくだし、貰おうかな」
本をパラパラと読むと、軽く出来るものから時間がかかるものまで載っている。わからない単語も注釈されてわかりやすい。本当に紫はどこからこういうのを持ってくるんだろうか。
「じゃあ自分向こうの部屋行ってきますね」
「んじゃその間あかりさんと遊んでるわ」
「ゆっゆっ」
あかりさんを横目に本を読み終えると、てんさんに今日やることを決めれた。今からとても楽しみだ。 気付くとあかりさんがやたらにキラキラとこちらを見ている。
「なんですかねぇ?」
「おねーさん、とってもすごくゆっくりしてたんだよ!」
「ゆっくり?」
そういえば本にも『適度にゆっくりさせる事が重要』って書いてあったな。確か生きるのに大事なものなんだっけ。てんさんにもさせなきゃ長く遊べなそうだ。方法は先に知っておこう。
「あかりさんはいつもなにでゆっくりしてるん?」
「んーと、いつもはゆっくりのうたをうたったり、おいしーいごはんしゃんをむーしゃむーしゃしたり、おくるみをつけたり、すーやすーやしてるとしあわせーってなるよ!」
「ほーん。参考にしとくわ」
正直よくわからなかったが、エサだけいいのをやっておけばまぁ大丈夫そうか。もったいないとは思うがしょうがない。
「すみません。あかりさん大丈夫でした?」
「あー全然良い子だったよ」
「今からご飯作るので、もう少し待っててください」
「あの,,,実は新しくゆっくりを見つけたんですが、貰い手が見つかるまでで良いので、飼っても良いですか,,,?」
夕食中、顔色を伺うように聞かれた。正直どっちでもいいが本音だが、そのまま伝えることはできないので、少しオブラートに包んで言おうか。
「それってこの前の金髪の?」
「はい。弱ってたので」
「紫さんが自分で世話できるなら良いよ。自分は買い物についてくくらいだけど」
「ありがとうございます。」
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