そろもん「じお、る····?」
じおる「どうしたんですか?」
そろもん「こっち、来なよ」
じおるは答えない。
ただ静かに微笑んでいる。
あすた「じおる行こ」
じおる「はい!」
向こうを見ると、あすたがいた。
じおるの手を引いて、フェンスに近づく。
そろもん「····メメントリはどうするの?」
じおる「え?」
こちらを振り向く。
困惑した表情。
そろもん「社会貢献は?」
そろもん「はるてぃーの夢は?」
落ち着いた口調で話す。
普段のふざけた口調なんて捨て去って。
それが効いたのか、あすたの手を離しこちらに足を踏み出す。
あすた「俺のこと、好きじゃないの?」
あすたの声が響く。
少し涙目になっていた。
あすた「ねぇ、好きって言ってくれたのに·····」
あすた「嘘だったの?」
じおる「違います!」
じおる「あすくんが!あすたくんが好きですよ!」
あすた「でもはるさんのこと優先しようとしたんでしょ?」
じおる「いえ!僕はあすたくんと一緒にいますよ!」
あすた「良かった!」
嘘泣きだったのか、あすたはもう泣き止んでいる。
あすたは何を考えているのだろう。
分からない。
そろもん(違う、今大事なのはそこじゃない)
止められないなら、せめて一緒にいさせて。
そろもん「待って!」
あすた「今度はなに?」
2人はもう、フェンスの向こうに行ってしまった、
手を離したらきっと落ちてしまう。
そろもん「俺も、俺も一緒に····!」
2人は何も言わない。
沈黙が怖い。
あすた「·····ねぇじおる」
じおる「はい、なんですか?」
あすた「そろもんの事好き?」
じおる「···はい」
あすた「友達として?恋愛として?」
じおる「恋愛として···」
あすた「僕よりも好き?」
じおる「どうでしょう····僕にとってはどちらも大好きで、どちらも大切です」
あすた「そっか」
答えが決まったのか、あすたはこちらを向く。
あすた「じおるはあげないよ」
そろもん「ちょっ····!」
じおるに抱きついて、落ちていった。
腕を伸ばしたがじおるの髪を掠めるだけで届かなかった。
重たいものが落ちる音がした。
じおるも、あすたも、大好きだった。
きっとじおるも一緒。
でも、あすたは違った。
違ったから、こうなっちゃったの?
後悔が波のように流れ込んでくる。
2人は心中してしまった。
もう俺はそこにいけない。
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