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毎日が退屈だった。書類にサインして,パーティーへ行って。
幼いころから太陽の下を駆け回って遊びたかった。けれども母はそんなけがれるようなことをしてはなりません,貴方はいずれ国王になるのですからと言って家から出してはくれなかった。
「なぁ,お前がここに来る前まで何してたんだ?」
専属の執事に聞いてみた。
「そうですね,実家のペンキ屋を手伝ってましたね。」
太陽の下,汗をかいて家の塗装をしていたという。それがどれだけ羨ましいものか。こいつにはわからないだろう。
国王になった今,俺の顔を知るものは少ない。顔を知っているものは貴族だけだろう。平民たちに会う機会なんてなかったから。国民たちの事をこれっぽちも知らない俺は,国民たちから反発を買っていた。それは城内にも。気づけば騎士やメイドたちは数えれるほどになっていた。
もう疲れた。そう思っていたとき,殺害予告がきた。内心嬉しかった。予告通り殺害されればこの毎日からおさらばできる。しかし執事は護衛依頼を頼んだ。そんなことしなくてもいいのにな。
「じゃあ,俺と契約してみねぇか?」
それがベルとの出会いだった。
「あ,そうそう。僕は魔族って名前じゃなくてベリトって名前がちゃんとあるんだよ。」
「そ,じゃあ魔族,俺にも名前があるんだ。スカイ・アーツって名前が。」
「だから魔族じゃないってば。」
この魔族,ねちねちしてるっていうか。やけに寄ってくる。
全体的に赤いからすごく…何というか,目がちかちかする。殺害予告を出したのはこの魔族なのだろうか。一体何のために?それとあの日の辛さを味わってほしいって何なの?
「ち・な・み・に…今から動いたら死ぬよ。」
「は?」
「え。」
動いたら死ぬ。その言葉を聞いて私たちはぴたりと動きを止めた。
「ぎゃはははwwww嘘に決まってんじゃんw」
そのとき,私の頭にある何かが切れた。
私も詳しくは覚えていないのだが,スカイによると私は鬼のような目になり魔族をコテンパンにしてしまったと。うっそ,本当に?と思ったがあの国王のおびえ方からして本当なのだろう。魔族コテンパンにした私…すごくない?
地面に倒れている魔族を見つめていると一人の怪しげな男が私たちに話しかけてきた。
「えっと…どもー。この魔族は私たちが処分しておくので国王様方は帰還してくださいまし。」
どちら様かと聞くと通りすがりの一般人ですと。怪しいったらありゃしないわ。失神してうつぶせになっている魔族は通りすがりの男によって連れていかれた。これにて…護衛依頼完了?
~一方そのころ~
いやなんでだよ…なんで国王のいるところに来たら魔族がいるんだよ。でなんか呪文唱えたし。
そう,俺は国王を護衛していると思えたエルフの女を殺害しようとしたところ,見事によけられた。流石国王を護衛しているというだけ出会って手ごわかった。しかし危機感も出てきてしまったとなれば俺の名誉に傷が入ってしまう。だからもう近距離で殺してやろうと思ったのにな。
「そ,じゃあ魔族,俺にも名前があるんだ。スカイ・アーツって名前が。」
ふいにその名前が耳に入ってきた。国王ってスカイって名前なんだ。変わってんな。見た感じ正義感凄そうだしな。よし,今殺そう。そうして動こうとした時だった。
「ち・な・み・に…今から動いたら死ぬよ。」
??????嘘嘘。俺木っ端みじんにされてここで死ぬの!?滅茶ダサいじゃねえか!国王とその護衛のエルフとイケメンも俺と同じようにぴたりと止まった。
「ぎゃはははwwww嘘に決まってんじゃんw」
魔族が腹を抱えて笑っていた。よかった。助かった。そう思い少し距離を取り,銃口を国王スカイに向ける。よし,今なら確実に殺せる!引き金を抜いた時だった。
「あ”ぁ!〇ねよ!」
あのエルフだった。ピー音が鳴り響く。そうして魔族をコテンパンにやった。やったぞこの女。この長年殺し屋やってきた俺でも身が引ける。気づけば後ずさりしていた。数分も立たないうちに魔族はぼこぼこに,エルフは何があったのかと聞いていた。この場から一刻でも早く逃げたい。そう思った俺は魔族のもとに近づいた。
to be continued→