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朝日が眩しい。
一応この世界にもちゃんと昼夜みたいなシステムがあり、24時間サイクルで明るさが変わるようだ。
『相棒はこのままベッド使えよ。なんたって俺っちは体力ありありのヒーローだからな♪』
一応気遣いは見せてくれているサーティーンの好意?でありがたくベッドを使わせていただいている。
「ほら、俺っちお手製の朝飯だぜ? しっかり食って手がかり探しに行くぞ。」
テーブルを見ると、ベーコンとチーズがたっぷり入ったホットサンドと、ミルクたっぷりのコーヒーが並んでいる。
手がかり……
サーティーンのお手製ご飯が嬉しいのに、
なぜか心はざわざわとしていた。
「また、死んだ魚みてぇな顔してんじゃねぇか。帰れるから、心配すんなって。」
サーティーンはそう言ってニカっと笑うと、頭をがしがし撫でてきた。
相変わらず、雑な慰めだ。
でも、むしろそれがサーティーンらしくて、なんだか笑ってしまった。
「お、笑ったな! じゃあさっさと食って探しに行こうぜ!」
とりあえずコア付近の怪しそうな箇所を見て回ることにした。
サーティーンいわく、『どうせ何かしらのバグが関わっているはず』とのことだ。
暗い路地裏に入り、あたりを見回す。
「動くなよ、相棒。」
そう言うと同時に、私を抱き寄せて背後を撃ち抜いた。
「…俺の相棒に触るんじゃねぇ。」
低く、冷たい……完全にキレてる声だ。
「……っと、相棒! 大丈夫か!?」
私の方を見ると、パッと心配そうな目に変わり、怪我がないか確認している。
「…相棒には俺っちが側にいるから安心していいぜ!」
「側にいる」
「安心していい」
その言葉に、キュッと胸が熱くなった。
「……俺の側、あんま離れんなよ。」
そう言って、ぎゅっと手を握ってきた。
握られた手は熱いのに、
この温もりは帰ればなくなってしまう……。
その事実が、より一層私の心を切なくさせた。
……でも、このままじゃいけない。
とりあえず、ここの事情に一番詳しいのはVOIDOLであることから、彼女に話を聞くことにした。
「帰る手段がわかったよ。」
管理システムに行くと、VOIDOLと話していた零夜に、そう告げられたのだ。
原因はコンパス内に発生した微弱なバグが、一瞬この世界とリンクし、さらにそのタイミングでコンパスを起動したことによるサーティーンとの接触のようだった。
「ゲンインガワカリマシタノデ、コレニヨリ、アイボウサンモブジモトノセカイニカエレルコトデショウ」
カピッと言いながら、こちらを安心させるように話してくれている。
なぜ、ここに来れたのか。
原因がわかり、それによる対策もVOIDOLや零夜が考えてくれている。
「微弱なバグの発生は稀だが、0じゃない。
次の発生のタイミングでサーティーンとすぐ動けるようにしておくといいだろう。」
「そのタイミングが分かったらサーティーンに連絡を入れよう。」
そう告げた零夜の言葉が、ゆっくりと頭に響いた。
帰れることがわかったのに、なのに、心は晴れない。
「皆さんありがとうございます。」
精一杯の笑顔でお礼の言葉を告げ、隣に立つサーティーンを見つめる。
「や-っぱり、最後は俺っちの力が必要ってな!ま、これで相棒も無事元の世界に帰れるわけだ。」
うんうん、頷きながら、こちらを見て二カッと笑っている。
「……いったろ、無事帰れるってよ。」
私の頭をガシガシと撫で、そう呟いたサーティーンの瞳は、自分のことのように嬉しそうだった。
サーティーンの瞳は、生き生きと輝いていて……でも少し寂しげだった。
「……相棒が、いなくなったら……俺は」
サーティーンはそこで言葉を飲み込んで、そっと視線を逸らした。
「……いや、なんでもねぇ。」
彼の大きな背中が、少し、小さく見えた。
その瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられて、
息が詰まるような切なさがこみ上げてきた。
……もしかして、サーティーンも同じ……?