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ひたむきに、あなたへ

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ひたむきに、あなたへ

167 - 最終章 ひたむきに、あなたへ 第167話

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2025年09月12日

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――ドンッ。

夜空に大輪の花火が咲いた。

鮮やかな光が池の水面に揺れ、二人の顔を照らす。


「きれい……」

華は目を細め、夜空を見上げた。


律は隣で静かにその横顔を見つめる。

真剣な想いが、胸の奥からこみ上げてくる。


「……桜坂さん」


華が振り返ると、律はまっすぐに彼女を見ていた。

「俺は……もう、あなたの教育係じゃなくていい。

ひとりの男として、あなたを大切にしたい」


花火の音に混じりそうな声だったが、華の耳にははっきりと届いた。


「桜坂華さん。俺と、付き合ってください」


華の目が大きく潤む。

「……はい」

その一言に、笑みと涙が同時にこぼれた。


律はそっと手を伸ばし、華を抱き寄せる。

夜空にまた大輪の花が咲いた瞬間、二人の唇は静かに重なった。

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