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どんなに裏切られても、どんなに苦しんでも、俺はあいつらに依存している。それほどまでにあいつらは俺にとっての救いだった。

「蛇足」


「こんにちわっ、遅くなってすみません」

「んじゃみんな集まりましたね。本題にいきましょか」

カランカランと鐘を鳴らして入ってきたのは紫髪の男。長髪で綺麗に靡く姿が綺麗だと思う。焦ってきたのか息が切れている。

「ここにいる3人は僕に同じ依頼を出してきました。⚪︎⚪︎のところを解錠してほしい。と」

「その通りだ、魁星」

紫髪のほうの男が答える。

「そしてなんと報酬も一緒なんですね。これ前もって話したりしました?」

「んなわけないだろ魁星さん」

「だから魁星って呼んでくださいって言ってるんすけど、、」

水色の方の男と魁星と呼ばれている男の会話が妙に微笑ましいと思うのはなぜか。

「どうします?僕は誰の依頼を受ければいいんでしょうかね?」

俺だけで判断できることではないし、できるんだったら俺の依頼を受けてほしいとしか思わない。

「自己紹介していいか?お前っていうのもあれだろ」

と紫髪の男が言う。いらないと思っていても言うのが普通なのか。わからない。それだったら他の人に合わせたほうがいいのか。と考えを改める。

「俺は小柳ロウ。暗殺者です」

小柳ロウが手を挙げて発表した。

「俺は長尾景。桜魔皇国で祓魔師やってます〜」

暗殺者?祓魔師??暗殺者はともかく祓魔師ってなんだ。祓魔師って。聞いたことないぞそんな職業。そして暗殺者のことを軽々と言っていいのか。それでも、俺は何も言うことはなかった。”井の中の蛙”と言う言葉があるように、俺の知らない職業があるのかもしれないから。

「、、俺は美園聡」

俺は小柳ロウみたいに暗殺者と素直に名乗れない。だからと言って解錠を頼む仕事なんてパッと思いつかない。なら名前だけでも十分でないか。それに俺以外の3人は知り合いっぽい。

「美園、、か」

長尾景は考え込むように、俺を見つめる。その時間、俺は恐怖を感じていた。両親から躾けられる時のように、俺が悪いのか、と思ってしまうからだ。

「お前、嘘つくんじゃねぇよ」

全てを見通すような力強い瞳で俺を見つめてくる長尾景。初めて人を”怖い”と感じたかもしれない。あぁ、似てる。あいつに似てる。

全てを見通すあいつの瞳に。あいつが嫌い、と言っていたあの瞳に。俺が好きだと言っていた、あの瞳に。思い出したくないのに、頭の奥底にこびりついているあいつらの表情が、忘れられない。

「ハッ、ヒュッ、ヒュー」

呼吸ができない。あいつらが、あいつらが。光を見せて、消えていったんだ。あいつらが残しって言った爪痕が俺の心を抉る。周りのことなんて考えられないくらいに、視界がぼやけてきた。

「__か!?_い!!」

誰かが俺を呼んでいる。呼ぶな、呼ぶな、俺の名前を。俺の名前を呼んでいいのは、どんなに裏切っていても、どんなに俺を苦しめても。名前をくれた、あいつらだけだ。

『新しい人生を歩もうよ』


NEXT 12月10日

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