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朝起きると彼の顔を一番に見る
いつもはおちゃらけて、楽しそうに笑う彼は
大好きな両親と寝る子供のような
幼い顔をしていた。
チュンチュンと鳥が鳴いて寝ぼけた頭が
うるさいなと苛立っている。
あの鳥はヒバリかな?
朝のあの鳴き声が嫌いな人は多いだろうなと
ボーッとしていると、おはよっと声がかかる。
少し間をあけて「ん…はよ」と返す。
彼を見つめると「元気そうか?」と声がかかる。
「…頭痛で死にそう」無愛想な俺の返事に
彼は体を起こして「ご機嫌斜め?」と聞いてくる。
いつもは少し口答えするけど、今日は朝から機嫌の悪い頭にしんどい体で話す気になれず、黙って布団に潜り、目を瞑る。
彼は布団越しに俺を撫でて「辛いならいつでも俺に言ってな?待っとるからな」
優しい声で言う。
罪悪感でいっぱいになった俺は無意識に唇を噛み、ため息をついた。
「おはよう 」
「どぬ~!起きんの早いやん 」
「うん…ちょっとね 」
「なんかあったら言っとけよ?力になれるかもしらんし心配やからな! 」
「ありがと、たっつん 」
「おう、じゃあ朝ごはん作るからゆあん起こして学校の準備しときな」
「うん! 」
嬉しそうに笑って部屋に戻るどぬを見ながら
うりのことを考える。
基本アイツは簡単には終わらんやつやけど!溜め込みやすくて、朝泣きそうな顔で俯いているうりを見るとほっとけなくて、おせっかいな行動をとってしまう。
迷惑じゃないと良いんやけど…
きっと迷惑だと思っても仲間には強くは言われへんから、察してやらなアカンのに…
そんなことを考えながら冷たい水を顔にかぶり朝ごはんを作る。
うりはそろそろ起こしてやらんとなと、起こしてやるだけやのに、少しだけ気持ちが浮わつく。
「たっつん」
彼が出てってからすぐに寂しくなって、そんな自分にイライラしてきて、もう一度眠る。
背中に少し重さが加わって、彼の香りがした。
「たっつんさん…」
「んー?そろそろ起きんと朝ごはんの時間なくなるで?」
「ん…起きる」
「よし!おはよう! 」
「…うるさい」
朝ごはんを食べ終えて、学校の準備をする。
教室は離れないように学校には言ってあるらしい。
それでも行きたくない。
何かあるから行きたくないんじゃない、何もなくても行くだけで苦しくなって足がすくむ。
情けないなぁと自分でもびっくりするくらい弱った声を出してしまって、少し動揺する。
いつまでもここにいるわけにはいかないので下の賑やかな声のする方へ足を運ぶ。
「遅いよー!うり!」
「うるさ」
「仲良くしてよw」
「ほら?仲良くしてよだってさ」
「うざ、早く行くよ 」
「よし…そんじゃ!」
『いってきま~す!』
学校まで遠いなぁとふと思う。
これから毎日行かないといけないのに…
もしかしたらみんなは何とも思ってないのかも。
俺だけ?……行くのだるいな
ふと思いつきみんなの方を向く
「なぁ、俺さ毎日は学校来ないかも。」
「えぇ!」
「どうしたの?急に」
「…なんか理由があるんやろ?何もなしってことはないよな?」
「…」
「学校までの道長くね? 」
皆少し考えて、顔を上げた。
もしかして俺だけだったかな?
別にそれならそれで良いけど、俺は行きたくないし止められたら面倒だな
もし彼に否定されたらどうしようと心の何処かで悩む自分がいる
そんなことしないだろうなとはわかってるんだけどな
「確かにな!」
「僕もちょうど思ってたとこ~」
「ちょっやっぱ学校ミスったなぁ~w」
「まぁ…しょうがなくねw」
「だよね~ww」
良かった…何処かでホッとする自分がいる。
わかってたけどね、別に。
さっきはびっくりしたな、俺とおんなじこと思ってたもん…
今日の朝から胃がキリキリするんだよね。
大丈夫かなぁ…心配。
「どぬ?」
「ぇあ…何?ゆあんくん」
「ううん!何もない」
「そっか…」
アイツどぬのことには敏感よなぁ
いつもはちょっと鈍感やけど それだけ見とるってことか、仲良すぎやろ。
弄ってやろうかな、それはおもんないかw
「…猫だ」
「うぇぇ!どこ!?」
「ほら、あそこ」
「ホンマや」
「可愛い~!」
「…なぁ、急だけどちょっと良い?」
「ん?どないしたん?」
なんや急に?…学校行きたくないんやろうなとは思っとったけど、その話か?
いつになく真剣やな
「俺さ…不良のふりして良い? 」
「………」
『はぁ!?』
なんやなんやどういうことや!?
不良?アイツそんなん好きやったっけ!??
「急にどないしたん!?頭でも打ったか?」
「ちげぇよ」
「じゃあどういうこと?」
「うり…」
「不良なら虐めもないし別に遅れても、学校に行かなくても先生が急に家に来ることはないんじゃないかって」
『………』
「ごめん、やっぱ何でもない、遅くなって怒られるのとかやだし早く行こ 」
正直びっくりした…。
わかっとるふざけて言ったんやないって、ちゃんと考えて、勇気を振り絞って言ったって。
でも、どぬは天然で可愛いしきっと人気ものになると思うし、ゆあんくんだって友達もっとたくさん作って色んなやつと絡みたいやろうし
…。いや、こんなん言い訳やな、アイツら使って現実逃避しとる場所ちゃうな。
うりは不安げな顔しとった。
そもそもうりは別に一緒に不良のまねして欲しいなんて言っとらんし。
なんでもっと早く気付かんかったんやろ…
絶対傷ついたやろ今の…、俺がそばにおらなアカンのに!
はぁ…言わなきゃ良かった。
みんな困惑してるだろうな。
なんで俺不良のふりするなんて言ったんだろ…
最悪
ガラガラ…
先生「おっおはよう!今日から転校してきた子だね!よろしくね」
「…」
ガラガラ…
『うり!…ぁおはようございます』
先生「おぉ!おはよう、じゃあ教室に行こうか!みんな仲良しだから緊張しないでいいぞ!」
うるさい人だな
きっと人気の先生なんだろう。だからこんなにも自分のクラスに自信があるんだろな
うるさ
先生「じゃあ少しだけ待っててね」
「は~い皆さん静かに!おはようございます!」
『おはようございます!!』
「は~いおはよう~!皆さん今日もいい声ですね!」
モブ「小学校かよw」
「はいそこ!聞こえてるぞ~!」
「お前ヤバwwクソウケる(笑)」
「うるせぇよwは~いごめんなさーい」
先生「は~いこれから転校生が来ま~す 」
モブ女「え…マジ~?」
「せんせぇ早くしてよぉ」
「男?女?」
「どっちでもいいっしょw」
先生「は~い静かに!!…じゃあ入って下さい!」
ガラガラ…
入りづらいけど呼ばれたし仕方なく教室に入る。途端に教室がうるさくなる。
くそ…頭に響く
先生「はい!!自己紹介お願いします!」
「…… 」
「たつやです。基本たっつんって呼ばれてます。よろしく」
「ニコ ゆあんです。よろしく」
目が笑ってへんなw
アイツ緊張しとんのか?
良かった…笑って良いんだ!
皆なんかテンション低いから不安になっちゃったw
良かったぁ
「えと…どぬくです。宜しくお願いします!ニコ」
ザワザワ
えぇー、可愛い~!
てかイケメンじゃん!うちらのクラスイキってる男子と陰キャしかいなかったからチョー新鮮!
ヤバ…タイプなんだけど!!
あの子ちょっと首元緩くて最高~!
たつやは白シャツじゃん!てか腕まくりしてるのマジで好きなんよな!!分かる!?
ゆあんくんはきちんと着てるのイイネッ!!幼い顔なのに一番きちんとしてるの好きよ?幼いから余計可愛い~♡
どぬくくんもちゃんと着てるのってもしかして、きちんとしてるのはどぬくくんの方でゆあんくんはまだ着崩せないってこと~!? 好きぃーかわちぃー大好き~♡
…推し?
先生「は~い静かに!ごめんねうるさくて 」
モブ「何それ先生うるさいって思ってんの~?」
先生「思ってねぇよw」
モブ女「先生口悪い~」
先生「ハイハイ…じゃあ席は~」
ガラガラ…バン!
シーン
先生「え?」
「うり抜けたんでサボりま~す」
先生「えぇ!ちょっと待ちなさい、! 」
ガシッ
先生がどぬくを掴んだ瞬間
ゆあんくんが思いっきり殴った
バゴンッッ!!
先生「いってぇ」
モブ女「ぇ…先生!!大丈夫~?せんせぇ?」
モブ「先生~何それダッサw」
「早く起きろよ~w」
「せんせ、手貸す」
先生「すまんな…ありがとう皆w久しぶりだったからびっくりしちゃったなw」
モブ女「先生私たちの時も苦戦してたもんね」
先生「にしても……問題児だなぁ」
教室から出てうりを追うがうりは何も言わずじっと見つめると早足で去っていった。
「大丈夫?殴ってたけど…」
「掴んだアイツが悪い…てか俺強くね?カッコよくね!?」
「あははw」
「単純思考やなぁw」
「たっつんに言われたくないし!」
「おい、誰が単純思考の頭悪いバカや!!」
「増えてるし!w」
しばらく歩いて行くとたっつんはちょっと抜けると言って別の方向へ歩いていった
「空き教室入る?」
「そうだね!」
誰もいない静かな教室に入る
どぬくは嬉しそうに引っ付いてくる。
「二人きりになれて嬉しい」
「え」
「あっいや、うりとたっつんがいないからじゃなくて」
「そんくらい分かるってw」
「良かったぁ」
ホッとして力が抜けたのか椅子に座り込む
でもねどぬ、俺も嬉しいんだよね。
もちろん皆がいるのが一番だけどね、たっつんはきっと気を利かせてくれたんだろうな
「ぁ、そうだ!ななチキ持ってきたんだけど食べる?」
「えぇ!ななチキ持ってきたの!? 」
「んはいほ?」(うまいよ?)
「フフwありがと」
「んんふ~へ」(おいしーね)
「んーんはい♡」(ん~うまい♡)
やっぱりおった。今日よぉ会うなぁ
「ニャー」
「よしよし…かわえぇなぁ」
この猫は人懐っこくてすぐに近くにくる
ここの近くで飼われとって、学校に近いけん生徒がよく構っとる
飼い主は外飼い派で別に触られても良いと思っとるようなヤツやろか
これ探偵いけんな!
猫か…うり
アイツはこの猫とは真逆やけど猫みたいな性格しとるよな
うりはみんなのこと別に嫌いやないしなんなら好きやけど冷たくしてしまって寝起きにそのこと考えて…
アイツもつらいんよな、俺がしっかりせなどないすんねん!
「アイツんとこ行くか」
「ニャー」スリスリ
こいつなんか愛着沸いてきたわ
どないしよ
トットットッ ニァーン
「あっおい!そっち危ないで?」
仕方ない危なっかしいし付いてくか!!
「ななチキ食べたし暇になったなぁ」
「そう?」
「もぉ帰る?」
「良いのかな?」
「良いでしょ!!行こ!」
「うん! 」
嬉しい、学校の先生殴っちゃったし(ゆあんが)もし怒られてもみんながいるから先生なんて怖くないもん!
うり…そのままにしちゃったけど大丈夫かなぁ
うりが静かに見つめてくるのはほっといて欲しいってことだよね?
…家に帰ったら会えるよね!
屋上に行くと鍵は閉まってなくて少しだけびっくりした
無駄足にならなそうだ
屋上の小さな屋根の下に座るとふと思う
みんなはじっと見つめると察してそっとしておいてくれる
きっと聞きたいこととかあっただろうし、心配してるだろうな。
皆何もないふりは上手いけど小学生のときから一緒にいるから嘘は…分かる
何もないふりを…してるのも…分かる
迷惑…かけちゃ…
「おーい、起きて」
誰だろう、ゆあん?どぬく?…声が違うな
誰だろう
たっつん?
「んん…だれ」
??「ここで何してるの?」
「ねてる」ぽあぽあ
??「うーん授業終わりにしては早すぎるんだよね…もしかしてサボった?」
「んん…やだぁ」ぺしっ
??「ごめんみんな一旦あっちいってて」
??「えぇ!…まぁ良いけど…」
「…はぁ?」
??「あっ目覚めた?」
誰こいつ、奥のヤツらもしらねぇし…
もしかして喧嘩しにでもきたか?いや、俺別に不良とは紹介してねぇし大丈夫か
とりあえず帰るか…
「おい」
??「ん?どした?そうそう俺はヒロって言うんだ! よろしく」
「聞いてねぇし…どけ!!」
ドカッ… タッタッタッ
ガチャンッッ
「良いの?あれ」
「うちら一応生徒会だけどな」
「転校生説」
「納得」
「かわいっ」
『………え、えぇ!?』
はぁはぁ…疲れたぁ
今日は良いことねぇなぁ
てか昼じゃん財布あるっけ…家遠いし買って先食うか
近くに綺麗な公園がある
小さな鳥が歩いてる
別に珍しくはないけどそんなにたくさん見れるわけじゃないので観察する
こういうのしてる時間案外好きだなぁ
コンビニで買ったご飯をベンチに座って食べたあと、ちょっと食休みして帰ろうとすると、グレーの上下パジャマみたいな男がキョロキョロ辺りを警戒しつつ不振な動きで女性や子供に近づいて見ている。
こんな絵に描いたようなモブいるんだなぁと呑気に構えつつ、一応行動を見てるとこちらに気が付いたようで近づいてくる。
ヤバ……死ぬかも。
「ねぇ、僕に気があるの?すっごい見てるね♡僕ちょっと興奮しちゃった♡久しぶりに外に出たらこんな可愛い高校生と出会えるなんて今日は付いてるなぁ♡♡」
「まだ子供だよ?おじさん♡誰彼構わず興奮してるの虫みたいだね 」
「ツンデレかな?可愛い♡」
「人間なら理性で止めろよ変態気持ち悪い」
「罵倒プレイかな?だけど君も気持ち良くなったら可愛くなるよ♡」
「へぇ…今の俺は可愛くないんだ?まぁ良いや明日ここで待ち合わせな?」
「え♡積極的だねぇ♡」
「ニコ警察呼んでやるよ…気持ち悪い男がこの公園にいます~ってなwじゃあな」
タッタッタッ
「ぁ、待ってぇ♡」
タッタッタッ ガシッ
「ビクッ」
「ひどいじゃん♡待ってよ? 」
「触んな気持ち悪い」
「可愛いね♡」
そう言って男は俺の頭を撫でる
気持ち悪い…でも捕まった、コイツは俺より足が速いから走って逃げる道はない
どうしよう…突き飛ばす?でも倒れず捕まったら今度こそ終わりだ
気持ち悪い視線
ねっとりした声
イヤらしい手つき
荒く近づいてくる息
あ”ぁ、しんどい。胸が苦しい
??
息が出来ない…死ぬ?怖いどうしようどうしよう助けて
「ハッハヒュッハッうぅゴホッゴボッ」
死ぬ?死ぬの?苦しい誰か
「どうしたのぉ♡怖くなっちゃった?大丈夫大丈夫♡」
「ハッハァッぐすっハヒュッッゴホゴホッハァッや」
「んん?どしたの♡おいで♡助けてあげるよ♡」
「さっこっち♡おいで♡」
「ハァッハァッハヒュッッゴホッあぁハァッ」
「歩けないよね♡ごめんごめん」
ぎゅ~
「大丈夫♡大丈夫♡」
「ハァッハッやだハヒュッッや 」
「大丈夫…大丈夫…大丈夫…大丈夫…♡」
ぼくがいるからね
「ダイジョブ…ダイジョブ…ダイジョブ♡」
どないしよ…こんな時間なってもうたわw
猫は帰れたみたいやしゆあんくんたちに一応連絡入れとくか
たっつん)ごめん猫追いかけとったら時間忘れとった!!
ゆあん)何その可愛い理由、!どぬくぐらい可愛くないとさすがにおかしいわw
たっつん)なんやと!?ゆあんお前覚えとけよ!?
ゆあん)えぇー
どぬく)まぁまぁw
ん、大丈夫そうやな、はよ帰って飯付くったらなアカンな!
どぬく)ねぇもしかしてうりも一緒?
たっつん)うり?
ゆあん)まだ帰って来てないんだよね
たっつん)はぁ!?もう7時やで?こんな遅くまで何しとるんや
どぬく)それはたっつんもでしょ?
たっつん)俺は一応猫のおばあさんの家でおやつ食べてきたし買い物して全然時間忘れとったわ
ゆあん)うわぁずる~
たっつん)一応探してみるわ二人は危ないしすれ違いにならんように家で待っとってな
どぬく)ありがとぉ、よろしくね
アイツ何しとるんや!あの見つめてきとったのは別の意味だったんか、なんで、!なんで俺は気づけんのや!!
今のLINEだって3人だけやったのに気にせんかった…最低や…俺
ピロン
どぬく)帰ってきたよ
良かった、!今すぐ帰ってやらんとな!みんな心配しとるんや!!
たっつん)良かった、とりあえず今すぐ帰るわ
どぬく)気をつけて帰って来てね
タッタッタッ
ガチャ
ただいまッッはぁはぁ
『お帰り~!』