◇◇◇◇◇
飛んで飛んで!ビスケットタウン!
「着いたね!カグヤ様!お疲れ様でした!」
立派な街やね!帝都と雰囲気が違う。
「ここには、奴隷を連れてる人がいないね!」
「ほんまやな!どうやってんねんやろな?」
「なんかをやってることは、間違いないですね!不思議!」
街のお城まで来た。
城門でも公爵に会いに来たと言ったら、すぐに通してくれた。
「お待ちしてましたよ!思ってたよりずいぶん早かったですね!」
迎えてくれたのは、この街の代官のナタリアさん。女性の方です。
「はい、思ったより早く着いて良かったです。この街は素敵ですね。」
「はい、ありがとうございます。お気づきだと思いますが、この街には奴隷がいません。他から来た人は、逆に異常に見えるようですよ。
それにしても、実物で見る方がかっこいいですね!みなさんも美しいです!はう!」
あれ?この人も僕たちのこと知ってるの?
「僕たち、黒の軍団って言われてるんですけど、知ってますか?」
「もちろんですよ!私はユメくん推しですよ!父と被ってますけど、彼は変態なんで気にしてないです。」
「父?」
「はい、私、公爵の娘のナタリア・ビスケットですわ。ここでは代官ですけど。」
「なるほど。ダニエラさんから聞いてるんですね!」
「まあ、いろいろ事情がありますので、お話は応接室でゆっくりと。
それより、ユメくん!握手してもらっていい?」
「あ!はい。」
「ほえー!ありがとう!嬉しい!
これからもユメくん推しだからね!私のことも覚えてね!ナタリアよ!言ってみて!」
「ナタリアさん。」
「ほえー!嬉しいけど、ダメ!ナタリア!」
「ナタリア!」
「ほえー!これで飯3杯いけるわ。
それじゃ、いきましょ!」
何?このやりとり!
ガチャ!
「お父さん!ユメくんが来てくれたわよ!」
げ!帝王様が女装してる!
どこがビューチフォーやねん!
ここは新宿か?歌舞伎町か?
「まあ!早かったわね!
ようこそ、ビスケットタウンへ。
本物だわ!やっぱり実物は違うわ。
すごいわ。動いてる!」
いきなり、ダニエラさんにハグされている。
「あー、たまんないわね!」
「お父さん!ちょっとやめなさい!いきなりはダメでしょ!」
「あら!ナタリア、遠慮しても損するだけよ。ユメくんはハグくらい許容範囲よ。ね?」
「そ、そうですね。大丈夫、です。」
「お父さん!ちょっと離れて!」
え?ナタリアさん!
なぜ、あなたも剥がした反動でハグしてるの?
「ほら!ナタリアもしたかっただけじゃない!」
「へへへ、実はそうなの!あー、やっぱり遠慮は良くないわ。」
ここの家族、こんな感じ?もう一人、男性の方がいらっしゃるけど。
「ユメくん!この子はカルロスよ。あたしの息子よ。」
「初めまして、カルロス・ビスケットです。
まさか、お会いできるなんて夢のようです。
ちなみにカグヤ様推しです。
握手してもらっていいですか?」
なんか、カグヤ様人気が高いんやけど。
「ええで!カルロス!お前、見る目あるな!よっしゃ、特別にお前もハグや!」
「ほえー!ありがたき!飯3杯はいけます!」
それ好きね!
「それじゃ、みんな、腰掛けて!」
着席!
「ユメくん!その子ね。新しいメンバーは。美しいわね!この国の子ね?
ん?ちょっと待って!名前はレイラよね?」
「はい、レイラです。」
「あなた、フローラにそっくりね。
あなた、たぶん一度王城で会ってるわね。
たしか、あなたが、10歳のとき。」
「……。」
「ごめんなさいね。急に変なこと言って。
王城にフローラって女性がいたの。美しかったわ。その娘さんがレイラって子だったのよ。
ただ、そうね。もう2人とも亡くなったって聞いてたから、人違いね。」
「ダニエラさん!ちょっと質問していいですか?その王城のレイラさんは亡くなったんですか?」
「そうね。フローラが亡くなって、すぐに後を追って亡くなったって聞いたわ。」
「レイラさんが10歳のときに会ったって、何があったんですか?」
「なんか、すごい食いついてくるわね!
まあ、いいわ。ユメくんだから話しちゃう。
レイラが10歳のとき、成人の儀に呼ばれて行ったのよ。それまで、知らなかったのよね。だから会ったのは初めてだったわ。
それでね、レイラを授かったジョブを理由に、王族がよってたかって罵倒してたわね。そういう奴らなのよ。ものすごく腹が立ったわ。あたしが言われてるみたいだったのよ。
というのもね。あたしも王城にいるときは、同じように罵倒され続けてたわけ。ちょっと人とは違ったけれど、異常者扱いよ。辛かったわ。でも、そのおかげで今も生きてるんだから、何が幸いするかよくわからないけどね。」
「そうだったんですね。」
「なんか興味あるわけ?」
「レイラ!たぶん、ダニエラさんの言ってるのは、レイラのことだよね?」
「は?どういうこと?」
「はい、私です………フローラは母です。」
「ダニエラさん!レイラは訳あって、王城から連れて来たんです。」
「やっぱりそうだったの!
そう、生きてたのね!良かったわ。
生きてれば、自由になれる可能性があるものね!
あたしも死にたいと思ったことは何度もあったけど、今は生きててよかったと思ってる。」
「はい、レイラのお母さんの遺言だったそうです。生き続けること。そして奇跡が起こると。
その奇跡はもう起こっているみたいな。」
「なんか、いろいろあったのね。
あれ?そうすると、レイラに二度目の天啓があったってことよね?すごいスキルがあるんだもの。」
「そうですね。それが奇跡みたいです。黒の軍団に入ったこともその一環です。」
「うんうん、なんだか、ほっこりするわね。
今日から、ユメくんとレイラちゃん推しに変更よ。フローラも喜んでると思うわ。」
このあと、ダニエラさんの王城での話を聞いたり、フローラさんやレイラの話をしたり、聞いたりした。つづく。
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