「――あ」
また、間違っている。
報告書に引用されたデータを見て、俺はうっかり声を出した。
慌てて口を噤み、握り込んだ手を押し当てる。
端から見れば、真剣に資料を読み、考え事をしている姿に映るだろう。
決して間違いではないが、俺の考え事は、この報告書とは違うところにある。
瑞希が寄越した資料に誤りがあったのは、何度目だろうか。
確かに、少し性格に抜けているところのある彼女だ、先日起こした資料ファイルのドミノ倒しといい、たまのミスは最早ご愛嬌、と誰もが思っている。
無論、俺もだ。
しかし、ここ数日の彼女のミスは、“らしくない”。
少なくとも、こんな大事な報告書に、まるで見当違いなデータを引用するなど、ありえないと断言してもいい。
ぐ、と眉間に皺が寄った。
やはり、数日前からどうにもおかしい。
会社で過呼吸を起こすなんて********
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