テラーノベル
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大学3年・8月。
仁義の家。
小豆島そうめん(島の光)を2人で食べながら、仁義が何気なく聞く。
「直弥くん、家事慣れた?」
直弥「……え?」
ってなる。
何を聞かれたのか一瞬分からない。
仁義「いや、一人暮らし始めたやん。」
「洗濯とか掃除とか。」
直弥は少し考えて、
「……ひとり分になったから、楽だよ。」
と答える。
仁義「え?」
今度は仁義が止まる。
「実家でもやっとったん?」
直弥「うん。」「洗濯とか。」
「ご飯は適当だったけど。」「掃除も。」
「やんないと、回らなかったから。」
本当に事実だけ。
仁義「(厳しい家やったんやなあ。)」
「(ちゃんと家事教えてもらったんや。)」
夕方。
仁義が麦茶作ってる間に直弥が床で寝落ち。
「ベッドで寝まい」と笑いながら促して、タオルケットをかけてあげる。
窓の外に飛行機を見つける。
「…『遥か空に旅客機 音もなく』…」
ぽつりと歌う仁義。
「⋯その歌、よく歌ってるね」
まどろみながら直弥。
「友達がくれたMDに入ってた。」
「へぇ。」
少し沈黙。
「キリンジっていう人たちらしい。」
「好きなんだ。」と直弥。
仁義は少し考えてから、
「……なんか、落ち着く。」
スピーカーつきMDなのに敢えてイヤホンを共有して2人で聴く。
しばらく無言。
曲が終わる。
仁義 「……どう?」
直弥 「……。」「夜みたい。」
仁義 「え?」
直弥 「静かな。」
それだけ。
仁義は嬉しそう。
「『まるで僕らはエイリアンズ』……。」
「……ふふっ。」
キリンジ『エイリアンズ』。
コメント
1件
読み終えました…。すごく静かで、でも確かにそこにある優しさにじんわりしました。直弥くんの「ひとり分だから楽」って台詞、仁義くんが気づいてくれたところ、すごく好きです。それからあのイヤホン共有してキリンジ聴くシーン…「夜みたい」「静かな」って言葉選び、直弥くんらしくて胸にきました。えぬたさんの描く空気感、いつも大切にしたくなります。ありがとうございます、また読みにきますね🌙