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大学3年・10月。
仁義の大学の文化祭。
軽音部。
直弥からのメールを見ている仁義。
『ごめん、風邪引いた。行けない。』
仁義「(……残念。)」
誰か「女装コンテスト人数足りん!」
全員「「「仁義。」」」
仁義「なんでや。」
部員「体格いいから映える!」
「顔だけなら勝てる!」
「肩以外は!!」
「肩が一番アカンのだけど。」
結局まりかがメイク係。
ウィッグ。
ファンデ。
眉。
仁義「これなに?」
まりか「つけま。」
仁義「つけま?」
まりか「つけまつげ。目ぇ閉じて。」
仁義「はい。」
まりか「動かない。」
仁義「はい。」
まりか「ぱっちり二重いいなぁ」
仁義「そう?」
まりか「黒目も大きいし。カラコンいらずじゃん」「まああたしだって天平美人だからね」
仁義「天平美人」
まりか「世が世なら男選び放題よ」
「それぞれの素材の良さってことでひとつ」
仁義「そうなん。」
まりか「そう。」
最後。
まりか「リップ。」
仁義「……いる?」
まりか「いる。」
仁義「男やけど。」
まりか「今だけ女。」
まりかがすっと塗る。
仁義、ちょっと固まる。
まりか「……。」「意外と唇きれいなんだ。」
仁義「そうなん。」
まりか「そう。」
「…さ、終わった。頑張って。仁子(じんこ)ちゃん」
仁義「じんこ」
まりか「…いや、仁美(ひとみ)かな?仁義と漢字ちょっと似てるし」
仁義「ひとみ」
最後にヘッドドレス。
まりか「見てみよ。どう?」
全身にかかったケープを取り、鏡を見せる。
まりか「……。」「なんか。」「強い。」
「…でも、顔はバッチリ。」
仁義「……。」「いや。」「…ちゃう。」
まりか「何が?」
仁義、少し考えて
「僕、女になりたいわけやなかった。」
まりか「………。うん。」
「似合うけど、仁ちゃんっぽくない。」
仁義「(…ああ、そうか。)」
「(そうやったんや。)」
大会。
司会「エントリーナンバー5番!」
ざわめく会場。
周り「いや待って。」
「格ゲーのキャラおる。」
軽音部員「女装っていうか『仁義』。」
「なんで入ったんだよあのメイド服。」
「パフスリーブパツパツなんだけど。」
「脚すご。」
「蹴られたら死ぬ。」
「春麗。」
仁義「誰が春麗や。」
まりか、震えながら「ごめん。」「ちょっと思った。」
ダチ「仁ちゃん!渚沙冬花のぶりっ子ポーズ!!」
仁義「だれ??」
ダチ「昔そういう子役いたじゃん!手ぇクロスするやつ!」
わかってない仁義、サイドチェストにしか見えないポーズを決める。(無意識)
ダチ「仁ちゃん!
アブドミナル・アンド・サイ!!」
仁義「なんで」
司会「アピールポイントをどうぞ!」
仁義「………。」「えっと?」「片手でりんご割れます。」
司会「いやそういうのじゃなくて」
夕方。
仁義「特別賞もろた」
まりか「まあ仁ちゃんは特別で唯一無二だからね。」
「…あ。」
まりかが顎を見て
「仁ちゃん。」「もう髭出てる。」
仁義「ほら。」「やけん言うたやろ。」
まりか「もう落とそっか。」
仁義 「うん。」
鏡を見た仁義が、
素の自分を見て少し安心している。
きゃりーぱみゅぱみゅ『つけまつける』。
サイドチェストにしか見えない。
コメント
1件
うわあ、めっちゃ良かったです……!仁義くんが「女になりたいわけやなかった」って気づく瞬間、すごく好きです。まりか先輩との距離感も絶妙で、つけまつげ塗るときのちょっとした間とか、ああいう空気感がえぬたさんらしいなって思いました。「特別賞」取った後の「もう髭出てる」って流れも、二人の関係性がじんわり伝わってきて。最後に鏡で素の自分を見て安心するところ、すごく仁義くんらしいなあ。自分の居場所がちゃんと分かってる感じがして、読んでてあったかくなりました。