🩷💙〜サイン〜
翔太はわかりやすいようでわかりにくい
反応が素直な割に、自分のことはぐっと我慢するところがあるから
付き合ってからも、翔太の気持ちを汲み取ってあげられないことは多々あって、その度に俺はもどかしい思いをしてた
それでも最近は甘えたい時のサインがわかってきた
楽屋でこそっと翔太が寄ってくる
「さっくん」
(さっくん呼びか)
「お、翔太。どうした?今日家くるか?」
「……うん」
翔太は嬉しさを滲ませた返事をして、また蓮たちのところへ戻っていった
翔太の気持ちが汲み取ってやれないと、彼の幼馴染に相談した時にされたアドバイス
「翔太は言葉で出すのが苦手な分、小さなサインは意外とたくさん出してるよ」
そこからは本当に注意深く、翔太を観察するようになった
最初こそ掴めなかったものの、1つまた1つとサインがわかっていくと共に、翔太が不器用なりに、豊かに気持ちを伝えてきているのを感じられるようになった
なんでもないような仕草で、視線で、気づいて、と訴えてくる
それに気づいて応えてあげられると、とびきりに可愛らしい、はにかんだ笑顔を見せてくれるのだ
「ただいまー」
練習も終わって俺の家に帰ってきた
「ご飯あげちゃうから、ちょっと待っててな」
「うん」
そう答える翔太が、スッと首に手をやる
(…ん、なるほど)
ツナとシャチも翔太にはよく懐いていて、ソファに座る翔太にじゃれつく
「ふふ、よしよし」
我が子たちにご飯を用意した後、翔太の隣に腰を下ろす
「翔太、おつかれ。おいで」
両腕を広げて近づくと、
「…うん//」
照れたようにはにかんで、素直に腕の中に飛び込んでくる
ぎゅっと抱きしめて頭を撫でてやると、力を抜いて完全に体重を預けてくる
「なんかあったか?」
「んーん、そういうわけじゃない」
「そっか」
しばらく抱きしめていると、くいっと服を掴まれた。顔を覗き込むと、じっと見つめてくるので名前を呼んでやる
「しょうた?」
途端に目線が逸らされる
「好きだよ、大好き」
そう伝えるとまた目線が戻って、嬉しそうに笑う
そしてそっと唇を噛む
ゆっくりとキスをすれば、しがみつく腕に力が入り、翔太の方からキスを深くしてくる
「さっくん」
「ん、翔太、好きだよ」
そうしてもう一度キスを重ねる
ずっとニコニコとご機嫌な翔太を見て俺はほっと安心する
言葉に出してくれたらいいのにと思うこともあるけど、サインの数だけ、好き、と伝えられているのだと思うと文句を言えなくなってしまうのだ
終
コメント
2件
この後書かれるのかもしれませんが、ゆり組が先立ってないのもいい😅 ゆり組ももちろん大好きなんですけど、マイナーペア読めるの嬉しいです💙💙