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ガヤガヤと騒々しい街を抜け、静かで、虫が数匹飛び交い、手で払いながら薄暗く小汚い路地を歩く。
僕の足音と虫の音だけが響いて、誰も居ない世界のような路地を抜ける。
抜けた先は少し広めな広場。周りは家の裏の壁であるレンガが積まれており、薄暗い路地が二、三個ある。広場の中央には、昔は管理されていたのであろう小さな噴水が鎮座している。
そこに夜のように静かに座り、古びた魔導書を、まるで宝石でも撫でるように優しくぺらりぺらりとめくる少年がひとり。
指先や顔が赤くなっているのは冬の寒さのせいだろうか?
「あ、あまくん、!来てくれたんだ」
風に揺れる茶色の髪。
月光に反射して煌めく黄金の瞳。
「こっち来て」と手招きするのは 僕の唯一の親友、アメジス・ヴィクター。
「あまくんは、可愛いね」
自分より小さな物が好きな彼にとっては、僕は可愛らしい弟のような存在らしい。拒絶までは行かないけど、なんだか不服。
だけど、こんな世界でも僕に向き合って、どんどん立場が遠のいても、態度を変えないのは、この子だけ。
この国には魔力の強さで決まる階級がある。
下から、蒼灯の魔導士、紅灯の魔法使い、そして黄金灯の最高魔法使い。
黄金灯なんて、世界に数人だけ、僕はそのひとりだ。
人々は自身のランタンを常に浮かばせ、自身の階級を表している。
そのため、最高魔法使いのことは言わずもがな周囲には認知される。別に認知されるのは良い、問題なのは最高魔法使いは表向きは崇め奉られ、誰もが目指す英雄。だったのに、今では人々からは恐れられ、嫌悪される存在になったこと。
見た目も関係があるのか分からないけど、僕的にはあると思っている。
なぜなら最高魔法使いは称号を貰ってから数秒で体が縮むんだ。どうやら昔は戦っていたから俊敏に動くために縮むらしい、本当か分からないが。
でもまあ、あめに気に入られるなら 良いかな、あの子は”あのこと”を含めて特別な人だから。
登場人物
主人公
アマリス・セレア
→あま
身長146㎝
最高魔法使い
16歳
性別:男
水色の瞳をしており、髪は長く白い髪
親友
アメジス・ヴィクター
→あめ
身長167㎝
魔導士
16歳
性別:男
黄色の瞳で、甘いチョコのような茶髪