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3 - 第3話 ある男の自白 一晩の過ち

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2022年08月02日

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それから十年の月日が流れた。私は25歳になった。

その頃の私は、大学を卒業して社会に出たばかりの新社会人。俗に大企業と言われるところでサラリーマンとして働いていた。

自分で言うのもなんだが、私は優秀な営業マンなようで、若手ながら営業成績もトップクラスだった。

そんな私の趣味は、仕事帰りに繁華街のとあるキャバクラに通うことだった。最初は上司の付き合い程度だけだったのが、キャバ嬢達は男性を立てる術を身につけているからか、トークが上手く話していてとても楽しかった。私はお酒が大好きな飲兵衛だった。大好きなお酒を飲みながらキャバ嬢たちは楽しい話をしてくれたりと、自分がイメージしていたキャバクラとは全然違った。女性経験があまりなかった私にとって、このキャバクラの雰囲気にすっかりハマってしまい、一人でも通うようになったのだ。

ある時、私は1人のキャバ嬢、椎名と出会った。彼女はまだ大学生だったが、家が貧乏で学費や生活費が満足に払えず、それを賄うためにキャバクラで働いているということだった。そういった身の上話をお互いに話しているうちに仲良くなっていった。

ある日、いつものようにキャバクラへ行き椎名を指名しお酒を飲んでいた。しかしその日は仕事で嫌な事がありいつも飲む量より、多く飲んでいた事もありかなり酔っ払ってしまった。椎名は私を介抱するために今回の支払いはツケにしてくれた。

私は酔っ払っていた事もあり介抱しようとしてくれた椎名を無理矢理ホテルへ連れ込んでしまったのだ。そこで何が起きたのかは言うまでもないだろう。

酔いが覚め、目覚めた時にはホテルの一室にいた。何も覚えていなかった。ふとベッドサイドのテーブルをみると、椎名からのメモが置いてあった。

「先に帰るね。支払いは私がしておく。もしなんかあったら責任とってね。」

と書かれてあった。

私は昨夜何があったのか覚えていなかった事もありそのメモに一通り目を通すとゴミ箱に捨ててしまった。

それから数日して、椎名から連絡があった。

簡潔にメールで一文、妊娠した、と。

私は頭が真っ白になった。身に覚えがないからだ。酔っ払っていた事もあって、記憶にない。また携帯がピロンとなり、「家に来て、話がある」と。

私は椎名の住んでいるアパートへ行き、部屋へ入った。

「妊娠した。責任とってくれる?」

私は「無理だ。もしかしたら俺の子供じゃないかもしれないじゃないか!」

つくづく最低な人間だと自分でも思う。

そこから彼女と口論になった。

彼女と揉み合いになり、私は彼女を突き飛ばしてしまった。彼女の体は箪笥の棚にあたってしまい、打ちどころが悪かったのかそのまま動かなくなってしまった。死んでしまったのだ。

不思議と私は動じなかった。昔2人殺してるのだ。殺すことに関してはもう何も感情はない。私は落ち着いて死体の処理を始めた。椎名の死体を自分の車のトランクにのせ、とある橋へ向かった。

そう、あの井戸だ。

私は実家に着き、死体を井戸の底へ投げ捨てた。

もうこれで大丈夫。案の定、警察がうちに来たが適当にアリバイを述べるとすぐに返された。

人間を何人殺そうが私にはあの井戸がある。

もう何も怖いものなどなかった。

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