僕らはまだまだ死にたくない!!
第18話.重ねながら__
▼START▼
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🧸*̩̩̥ 目線
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寺内さんが部屋に押し込まれてきて。
押し込んだ人はきっと……。
まぁこれは誰でもいいか。
泣いてしまった寺内さん。
月海さんは「どうしよう」と言わんばかりに
寺内さんと私の顔を交互に見る。
🧸*̩̩̥ (私に聞かれても…。)
なんて思いながらも寺内さんの背中を
さするように促す。
お姉ちゃんはいつも泣いている時に
背中をさすってくれる。
私だってしてもらったことがある。
皆背中をさすって貰うと落ち着いてくる。
ある意味一種の魔法だろう。
『事情があるんですよね』
なんて言ったが、まぁまぁ緊張している。
寺内さんに会うのは久しぶりだし、
何よりきちんと話した事が少な過ぎる。
🌙.*·̩͙「…だ…大丈夫ですよぉ〜……?」
ぇ。…疑問形なんですか?
…普通……いや。
今は普通とか駄目なんですよね。
多くの人は疑問形より言い切ってあげた方が
安心すると思うのですが…。
…でもこう見ると小さい子みたいですね。
…何だか見覚えがあるような……?
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🌙.*·̩͙目線
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玖音ちゃんに
「どうしよう」
と目で訴えていると
🧸*̩̩̥「背中をさすってあげてください。」
と言われ、言われるがままに背中をさする。
寺内さんは少しずつ落ち着いてきているように
見える。
小さい子ってこういうものだろうか。
何だかとても可愛い。
これを本人に言うのは失礼なのだろうが、
失礼を承知で言う。
可愛い。
年齢的には中高生くらいだろうか。
……小学生はないよな…?
…いや。ありそう。全然ありそう。
でも流石に大学生は行き過ぎな気がするし…。
…少し。寺内さんは兄ちゃんに似ている。
大人っぽいのに対し、
子供っぽさがちゃんとある。
あぁ。思い出したくないなぁ。
🌙.*·̩͙「ズビッ」
🧸*̩̩̥「…っ!?ぅあ。」
⚯˶「…ぁりがとぅございます。落ち着きました…。」
🧸*̩̩̥「…っぁ。良かったです…。」
⚯˶「…僕……。姉さんがいて…。」
…お姉さんいたんだ。
まぁそうか。うん。末っ子属性だもんね。
そんな事を考えていると玖音さんが
🧸*̩̩̥「…絶対失礼な事考えてますよね……?」
と、言わんばかりの目で見られている。
🧸*̩̩̥「まぁ。私も考えましたけど……。」
と、目を逸らされる。
⚯˶「姉さん…交通事故でっ、……。」
また、泣き出してしまいそうな寺内さん。
この言葉の後は何となく分かる。
『死んじゃった』
きっとこういう感じだ。
…何処まで兄ちゃんと似てるんだろう。
🌙.*·̩͙(「大変だったよね……。」)
そう言い、寺内さんの頭を撫でる。
🧸*̩̩̥「…っ。」
⚯˶「…ぅぁ。」
あ。やべ。
僕はいつもそうだ。
考えていることを口に出してしまう。
🌙.*·̩͙「…ぁ。いやっ!!変な意味じゃなくてっ!!」
焦りつつも弁解しようとするが、いつも通り
上手く言葉が出ない。
手をバタバタと振りながら焦る様子は何だか
見覚えのあるようだった。
あ。そうだ。兄ちゃんに似てるんだ。
兄ちゃんはいつも焦ると手を振っていた。
『ぅあ…ぇと…っ!!』
なんて言いながら必死に言葉を考えている
兄ちゃんがとても可愛くて、でも何処か
格好良くて、大好きだった。
そんな兄ちゃんと似ている寺内さんが何だか
放っておけなくて、引っかかっていたんだ。
⚯˶「…大丈夫です……。」
🧸*̩̩̥「…伝わってますよ。」
そう言って微笑む2人。あの時もそうだった。
最初に会った時。
誘拐された事や、知らない人が多くて深く
考える事が出来なかったけれど。
あの時からずっと。まとう雰囲気が似ていた。
優しくて、格好良くて、何処か子供っぽいのに
とっても大人で、周りの人の事をとても
気遣って。
兄ちゃんが『〇〇〇〇〇〇 』なんて
信じたくなくて。
でも『 〇〇〇〇〇』なんて決め付けれなくて。
僕はいつも『〇〇〇〇 』しか出来なかった。
前も向けず。かと言って立ち止まることも
出来ず。悲しみに“さよなら”を言えず、ずっと
手を繋いで歩いて来た。
寺内さんは凄いなぁ。自分のお姉さんが
『 〇〇〇〇〇〇』というのを受け止めて、
『 〇〇〇〇』なんてせずに、
今を見て…生きている。
僕には出来ないなぁ…。
僕は話すことも無く、ただただそこに、
座り込んでいた。
僕は___
泣きそうになりながら__
僕はすぐそこに座る2人を__
そこに微笑む2人を__
たった1人の___
僕の___
僕だけの___
居なくなった兄ちゃんと重ねながら___。
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