──────いえもん視点──────
「どうも。お久しぶりでーす!」
そう言うやいなや、それは姿を現す。純白のワンピース状の服にそれよりもはるかに白く、美しい1枚1枚の羽は煌びやかで壮大な翼へと姿を変える。天使の輪が頭上できらりと光り、それ自らが光を発していた。その中央にも光の元のようなものが宙に浮いていた。赤き光を灯した瞳は吸血鬼の妹を演じただけはあり、血の色と も、愛のこもった慈愛の色とも取れた。頬は僅かに高揚しているのか、うっすらとしたピンク色で明るい表情を作られている。
そう彼女は──────『ヒナ』。
ルカさんを絶望のどん底へと突き落とした張本人である。
「それで?なんの用でしょうか?」
ヒナさんはめめさんのことを愉快そうに瞳を歪めてみる。
「あ、敬語は使えるんですね。」
レイラーさんはうっすらと顔に血管を浮かばせながらヒナさんに笑顔で言う。その声は神経を逆撫でするかのような不快感と、屈辱感などを相手に味わせ体、そんな感情が滲み出ているように感じた。
「レイラーさん、喧嘩を売る必要は不要です。…さて、ヒナさん。この戦争についての話をしたいのですが。」
めめさんの言葉にレイラーさんは不貞腐れながらも黙り込む。
めめさんは冷静にヒナさんに向き合う。この状況では口出しをするのは無粋というもの。俺は無言に徹することにする。
「先に言うと、戦争から除外することは出来ないよ。あ、ません。それと、判断に迷った場合上に相談してからじゃないといけないから…です。」
たどたどしい敬語の今まで敬語をあまり使わなかったことが察せられる。この人数からば、ヒナさんくらい倒せるのではないか、なんてそんな発想が思いつくが、直ぐに思い直す。突然現れたのだ。回避する方法や逃げる手段などが天使側には存在するのだろう。行動しない方がいい。
「…ご相談というのは私達は種族、ではなくめめ村としての参加を希望させてもらいます。それと、私たちが勝った場合、他の報酬を望みます。」
めめさんがそう言うと、ヒナさんは一瞬キョトンとした後、直ぐに愉快そうに目を三日月形に歪め、天使と思えない笑い声をあげる。
「くふふっw面白いですねぇw!いいと思い、ますよ?まあ、ほかの報酬に関しては上と要相談、ですけどね?」
所々言葉を切ってそう返す。しかし、返された答えはあまりにも曖昧なものであった。そんな俺の疑問、というよりも疑い目に答えるようにヒナさんは気だるげな表情で言う。
「だって〜、私そんなに地位高くないよー?決定権は私になーいーでーす」
そう言って空中でくるりと回る。それならばなぜいるのか、という問いには無視をするかのように反応はなしだ。
「…なら、上への相談を──────」
「なら食べてもいいの?」
めめさんの言葉を噛み付くかのようにとめ、ぜんさんは自身の大きな瞳をキラキラと輝かせる。しかし言っていることは正気ではなく、狂気に堕ちきっていた。
「…あのさぁ、天使を食べるって発想やめた方がいいよ?そもそもくま程度に食べれるほど天使は弱くないよ〜?」
煽るように、というより少々イラつきを覚えているようで、まくし立てるように早口だ。しかし、少し幼すぎるというか、わざとらしさが見え隠れしている。まあ、ぜんさんの言っていることが信用に値しない、という所からヒナさんには余程の余裕があるのだろう。
しかし、ヒナさんが話し終えた数秒の静寂の時、ぜんさんの体から光がキラキラと体にまとわりつき、ぜんさんの体を貪り食うように光の強さを徐々に増していく。
一際光が強まった後、ぜんさんは姿を変える。
少しくすんだ黄色の髪色をツインテールとして髪をまとめる。髪留めには大きな青色のリボンに中心には大きなパールが取り付けられている。瞳はダイアモンドのように透き通っていて、光の反射の角度によって違う光沢の色を放つ。まるで虹色の瞳のようで美しかった。身長はやや低く、ヒナさんと同じ純白のワンピースを身にまとっていた。そして、天使の象徴とも言える天使の輪と純白の翼が瞳と同じように虹色の光を帯びていた。
「じゃあ私はどうして食べられたのかしら?」
ぜんさんの姿形、容姿、声、口調の原型はどこにもないが、煽る精神だけはぜんさんのようだった。ヒナさんは無言で何も言わない。しかし、ヒナさんの顔には驚くほど感情の動きはなかった。何を考えているかも分からない無表情。しかし、ぜんさんは喋るのをやめない。
「久しぶり。No.0139。私のこと覚えているかしら?って言っても何百年も前のこと覚えてないわよね…。──────私が死んだのはあなたのせいよ?」
その一言は有無を言わせない迫力を放つ。ヒナさんは、表情を変えない。むしろ怖がるどころか面倒くさそうな表情をうかべる。
「そう──────だから?」
ぴきり、と何かが割れたような気がする。
ここで切ります!戦争パートが思ったよりも長くなるんじゃね?と思い始めてきました!想像していた所までなかなかたどり着かない…。今回は交渉を終えて、次回から本格的に〜って思ってたんですけどぜんさんがいつの間にか暴れてました…。食い意地が張ってますねー(遠い目)。
てことで!既に9時超えてるので!雑談はここまで…。
それでは!おつはる!