・・・。
あ、あれ、?どうして…抱かれて…???
頭がはてなマークで埋まっていく。
イタ王)先輩〜ッ、好きですよ〜…
は、そうだった。今は仕事中で、さっき来たお客さんに…急に抱きしめられて…
お客さん…大丈夫、かな?(好きって…誰のこと、だろ?)
オスマン)あ、すみません…大丈夫ですか?
当たり障りなく、いつものお客さんにするように接していく。僕は自分のより少しがっしりとした手を取り、立てるかと聞いた。
オスマン)お席、案内しますね。
フランス)あ。ありがとうございます。
女子生徒)ちょっと、イタ王くん…!?何してんのよ本当に!
…イタ、王…
忘れたと、思ってた人の名前。
イタ王)あ、あ!ごめんっ!ちょっと昔好きだったっていうか、その人と似てたから、さ!はは!ちょっと人違いだったみたいなんね…。
フランス)あー、何だそういうことか。じゃ、さっさと席行こうぜ。邪魔なるしな
…あ、行っちゃう…。
でも、今追いかけたら…きっと僕は『幸せ』を諦めきれなくなってしまう。そんな気がした。
気持ちに蓋をして、本当は好きだったあの人を諦めて逃げて…それでも、忘れられなかった。
3人の談笑を横目にカウンターを拭き、注文をとって無心で仕事をすることで、気を逸らしたつもりだった。
気づくと3人は帰っていて、空っぽの席と透明のドアには『closed』の文字が掛かっていた
マスター)オスマン君、今日もお疲れ様。
オスマン)あ、マスター…マスターもお疲れ様です…。
労いの言葉と、ほろ苦いコーヒーの香りが切ないカウンター。
僕は…どうしてこんなに求めてばかりなのか。
マスター)オスマン君、どうも疲れているようだね?最近…悩みでもあるのか?
オスマン)あ、いえ…悩みとかではないです。
オスマン)ただ…忘れたくても忘れられないものがあるってだけです…。それ以外は、何も
マスター)…今日来た子の事、かい?
オスマン)…まあ、そうです…けど…。
マスター)…、そりゃ、恋…かもしれないな。
どきんっ
見透かされているような言葉なのに、顔はほとんど変わらない穏やかなままのマスター。
僕はつい、コーヒーの少し入ったカップを落としそうになった。
マスター)俺もあのくらいの年の頃は、一目惚れやら何やらで忘れられない時期があったからな…。
確かに、それに近いのかもしれない。でも、僕が…恋…!?
オスマン)えっ、え!?あ、あの…もし、僕があの人に…恋してるとしたら…?
マスター)?変な事はないと思う。実際の所同性でも全然お似合いだと思うしな。
オスマン)うぅ…マスターに聞いた僕が間違ってたかもしれないです…。なんか、恥ずかしい気がします…
マスター)ま、何か困った事あったら聞いてくれて構わない。男同士のもちょっとは教えられるからな〜。
おっ、男同士!?!?さすがに、気が早い…ですよ。マスター。
今日の帰り道は、不思議と明るく感じた。
…メールアドレス、変わってないといいな。僕は新しくして全然使っていない携帯電話をそっと閉じた。
コメント
14件
こうしんきたぁぁぁぉぉ!!!!! 待ってました!! やばい最高!!! 続きが気になりますッ! 2人にはやっぱり報われて欲しいです やばい、きになる
わぁぁぁぁぁ!!((バタッ んん、失礼しました(?)やばいくらい最高だったんですけどッッッッ!?!?そして続きがすごい気になります…☆