テラーノベル
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「バブル…………なんで……?」
「なんでって言われても、ただここを監視してるだけだよぉ。」
「じゃあ何故私達を殺そうとしたんだ?その物騒な左腕で……。」
「2人ともはどんな反射神経してるのかなって気になっちゃってえ」
フフフと笑いながらゆっくりと腰を下ろし、彼女は一息ついた。そして再び下にいる2人を見下ろし、口角を上げた。足をぶらぶらと揺らしながら、見つめていた。そして彼女は問いかける。
「ところで、2人はどうしてこんなところに?」
「ああ、芝生のところへ行こうとしてたんだ。あそこは見晴らしがいいからね。」
「そんなに荷物を持って?銃も持ってる……何か警戒することでもあるのぉ?」
「それは……。」
そうニードルが言葉に詰まったとき、バブルは再びアハハと笑った。彼女の笑い声は、割れたスピーカーから流れるノイズのように、耳の奥に残った。さっきより目を細め、鋭い目つきだった。
「ここから逃げようとしてるんでしょ?お見通しだよ。」
「なっ……そんなわけ…。」
「数日前ここを通ってきた2人と同じだ。同じ目をして同じ発言をして逃れようとしてる……。」
「2人………?2人って……まさか………。」
「うん、そうだよぉ。リーフィーとファイアリーだったね。リーフィーは死んじゃったけど……彼はどこに行ったんだろぉ……。」
「ッ……。」
「まあ、リーフィーは強かった。泣かなかった。流石二位だった精神だよ。血でさえも私の手を温めてくれるほど、熱い精神だったなぁ。」
TDは眉に縦皺を寄せ、ニードルの腕をギチっと掴み、強く引っ張った。
「ニードル、走るよ。バブルにバレた。」
「テ……ティアドロップ!?」
「別にマッチに報告しようとは思ってないよぉ?あの2人が運悪く彼女にバレちゃっただけ……。そして今は……空を見てみてよぉ。日が暮れてる……、今からあそこに行っちゃったら警備にもっとバレちゃう可能性があるのにぃ……。」
「だから……何をして欲しいわけ?」
「えぇ〜ここで一晩過ごしていいよ〜ってわけ!この建物には寝床もあるし、食料もある……一晩寝てから脱出したほうがいいんじゃあないのぉ?」
TDは彼女の言葉にまた警戒を強めた。唇をギュッと噛み締め、跡がついてしまったほど。
「うるさい!どうせ殺すつもりなんだろう?じゃあ私達はここを去らないといけないんだ!」
そう叫び走り始めようとした瞬間、左腕が柔らかいもので挟まれた感覚がした。何だと思い後ろを振り返ると困った顔をしたニードルが視界に入ってきた。まごまごとしていて、少し焦っているようだった。
「あの、ティアドロップ……。バブルの言う通りだよ。本当に今からあそこへ行くとなると警備が増えて危ないよ……。ここは一旦休んで、朝に行ったほうがいいんじゃ……。」
TDの耳元で囁き、そう提案した。
「………まあ、いいよ。」
TDは少々口を尖らせ応えた。
「んじゃあ決まりだねえ〜!さっ、この建物に入って!」
2人は少し壊れた白いアパートの中へズカズカと入っていった。
中は薄暗くて、鉄くさい匂いが鼻にペタリと取り憑いたことを覚えている。他にも あまり周りが見えなかったけど、中には無数の汚れがたくさんこびりついていた。地面に落ちていた黒ずみは、ただの汚れじゃなかった。それに気づいたのは、靴底がわずかにへばりついた時だった。
何が、寝床よ。
死んだ人たちの怨念を聞きながら、寝なくちゃいけないなんて。
ーその夜……別の場所でー
「こちらが例の資料です。」
ドサッと置かれた資料は、まるで都会の建物のように思えるほどに積み上げられていた。紙が蝶のように舞い上がり、桜の花びらのようにヒラヒラと落ちた。
「うぅわあぁ……ありがとね。」
内心“多すぎ”と思いながら彼女は言い放った。
「いいえ、あまり探すのは大変ではなかったですよ。ここの施設の図書館にまとめておいてありましたから。」
「そう、それにしても遅かったけどねえ?」
「そんなことはどうでもいいです!早く読んでください。」
「はいはい。」
と、会話を交わし彼女は椅子に腰掛け、片手に資料、もう片方にはコーヒーを持った。
「んー……。なるほどねぇ。」
なんて独り言を言いながら彼女は1人で悪い笑顔を浮かべていた。
「それで……どうしてここ、テクノポリスを作ろうとしたんですか……?」
と,分厚い書類を両手で抱えている女が問いかけた。
「えぇ?んー……そうね。アタシ自身がみんなを支配したかったのもあるし……何より……。」
彼女はコーヒーカップを乱暴に置き、こちらを向いた。
「他の世界があるって聞いたの……ラジオでね。そこに戦争を仕掛けられても負けない強い軍隊にしないといけないのと……そこを奪う為にテクノポリスを作っているのよ。」
「へえ、そうだったんですね。それは素晴らしいことだと思いますよ!」
「ふふ、ありがとう。アンタならそう言ってくれると思ってたわ。」
彼女はもう一度後ろを向き、ゆっくりと立ち上がった。気づけば窓の方に向かって歩いてゆき、窓に手を添えて再度話し始めた。
「まあ、それだけじゃないわ。“彼女”を強くしなくちゃいけないし、何よりアタシを強く……誰にも負けない体にしなくちゃいけない。」
窓の外には、白い霧に包まれた都市があった。 無数の高層建築が、墓標のように突き刺さっているように見えた。
「そうですね。外部からの威嚇が強まっていると聞いたことがありますし、早めに強化対策をとっていきたいところですね。」
「まあ……そのことに反対の意見を持つ者は………。」
彼女の声が低くなる。
「排除しても構わない。アイツらがいなくたって、世界は変わらないわ。そう思うでしょう?フラワー?」
そう彼女に言い放ち、真っ赤な目を光らせた。その目の色は美しく、薔薇色のように光り輝いていた。
「……それは素晴らしい提案だと思うのですが、これ以上ここに住んでいる人間を殺すのですか?人が……いなくなってしまいますよ。」
それを聞いた彼女はズカズカとフラワーの元へ歩み寄り、その人影がフラワーを包み込んだ。
「よく考えて、フラワー。死んだヤツは運が悪かったんじゃない、アタシが気まぐれで殺したのでもない……ただこの世界の“進化”に置いて行かれただけなのよ?」
と言い、フラワーの耳元で囁いた。
「アタシはみんなに親切にしてあげているのよ?分かるわよね?分かるように、アタシがアンタを改造してあげたんだから。」
フラワーは何と言えばいいか分からず、喉に言葉が詰まった。
「この世界をもう一度作り直さなきゃいけないのよ。アタシの手で……テクノポリスを!!………何があっても弱いものは殺してちょうだい。わかったか!?」
彼女の目は過去の意地悪な目でも何でもなかった。視線をフラワーに集中させ、言葉にならない圧力をかけた。
「……はい、お任せください。マッチ様。」
そして、マッチに笑顔を静かに返した。その笑顔は、もうあの頃の彼女の笑顔とは真反対だった。
「ようやくこれで……テクノポリスは……。」
マッチの中で、テクノポリス作成はまだまだ始まったばかりだった。
「いつのまにか日が昇ってる……。」
重たい瞼をゆっくりと開いてゆきながら、窓からさし光る灯りと目が合った。
「TD……おきて。早く行こう。こんなとこにはいられない。」
私は夜には見えなかった部屋の中を目の当たりにし、少々焦りながら横になっている彼女の体を右手でユサユサとゆりかごの様に揺さぶり,声をかけた。
「ん……わかった。」
すぐに彼女は起き上がり、身支度を始めた。
ニードルは目の下に黒い隈が塗られていて、明らかに寝不足の様だった。けれども私はTDの後ろ姿を見つめながら歩いていった。彼女の背中は真っ直ぐで、恐れもしていないようだった。だが太陽の光で作られた影は、ゆらゆらと揺れ、焦りが伝わるような不穏な影だった。
外も相変わらず霧まみれだった。どうしてこんなに白いのかは知らない。私達の道を塞いでいるかの様に立ちはだかっている霧はこの島の肺だ。吸い込んだ者を二度と吐き出さない、白い巨大な肺だった。
それでもTDは進んで走って行った。“リーフィー”という名前を思い出すと吐き気が私を襲う。けれど、もう後戻りは出来ない。私はこの街に“さようなら”と言い放ち、彼女の後ろ姿に追いつけるよう、走って行った。
「北の方角へクリフォトらが向かっています。彼女達を追跡したほうがいいですか?」
無線通信機を片手に、バブルが話し出した。
「いいや、大丈夫よ。アタシが行くつもりだから。……まあ何かあったら、すぐに殺してちょうだい。
「わかりました。」
「アイツらに少しだけ、夢を見せてあげないとね……。」
そのマッチの言葉はノイズと共に消え去って行った。
コメント
2件
マッチ!!マッチだ!!おい皆挨拶しろマッチだぞ!リーフィー…ファイリーだけ生死不明なのいいね。後マッチイラスト!頭の飾り好き!イラスト!イラスト!イラスト!わーい!!!
ウォオオオオオオオオオオオオ花わ氏が!!!!!!!!人に従うなんて!!!!マッチが最高権力者だとしても想像していなかった…!!!最高すぎる😭😭😭😭 そしてバブルが………マッチと話すときはキリッとするの流石すぎる🥰🥰 というかタイトルが毎回天才すぎまして!!!!🫣🫣🫣いつもどこかにタイトルの由来(?)が込められててもう大好きです🥹🥹