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鋭琉は武器庫の扉を開けた 。
あまり使われていないからか、扉を閉めると手に薄く錆がつく。
鋭琉は手を軽くはたいて、武器を物色する。
まず、大型の銃を手に取った。
この銃は、射程は長いが、装填に時間がかかる。
その隣にある小型の銃は装填が早いが、それだけだ。
弾速にも射程にも欠ける。
他の銃も見ようと体をひねって、前に試したものしかないことを認め、鋭琉は銃を探すのを諦める。
そろそろ新しい銃も使ってみようと思ったが、どうにも種類が少なすぎる、と鋭琉は内心ぼやく。
やはり、異能で戦うことを前提にしている以上、武器の需要は少ないのだろう。
19世紀以来、こういう武器の発展はほとんど進んでいないという話を、鋭琉はどこかで聞いた。
武器いらずの異能も多いし、武器を使うにしてもあくまで補助的にしか使わないから、武器の開発を進める必要がないのだ。
炎や水、風など、大きな力を操る異能を扱う者もいると聞く。
・・・幸運な、一握りの人間だ。
多くは、攻撃を反射したり、体の一部で爆発を起こしたりする程度の物。
それでも、羨ましい限りだが。
人の数だけそんな異能が飛び交う戦場で、武器を使う者は当然馬鹿にされるし、戦場向きの、俗に言う「当たり異能」持ちは、多少なりとも軍での扱いが変わる。
武器庫があるだけ、この国は武器に理解があると言えるだろう。
・・・努力は裏切らない、とはよく言ったものだが、絶対に自分は頷かない、と鋭琉は思う。
才能を前には、努力も何の意味も成さない。
戦場においては、特に。
──鋭琉は、異能が使えない。
誰に教わらなくとも、自分はどんな異能が使えるのか、なんとなくわかるものだと皆は言う。
自分には異能なんて使えないのだということが、鋭琉にはなんとなく、しかしはっきりとわかっていた。
これ以上この事について深く考えると、ひどく惨めになる気がして、彼はそこで思考を停止した。
・・・もう手遅れかもしれないが。
手榴弾を補充しに来たのであって、落ち込み に来たわけではないのだと言い聞かせる。
手慣れた動作で埃っぽい木箱を開けて、いつも使っている種類のものであることを確認した。
手榴弾にしても、やはり種類が少ない。
もう自分が作るしかないだろうかと、手榴弾の原理も知らない鋭琉は思った。