初投稿自己満稚拙小説です。らだ受けです。お覚悟。
3話目以降から直接的モブレ表現が入ってきます。
らっだぁ視点
「ぺいんとっ……た、すけっ…ひぅ“〜〜〜〜っっ」
なんで、こんなことになってるんだっけ……
数時間前、俺はぺいんとの家に泊まっていた。
「らだぁ、今日の夜ご飯唐揚げでいい?」
「いいよ〜唐揚げ好き〜」
俺とぺいんとは去年から付き合っていて今は半同棲して、その日は次の日が休みだったから泊まりに来ていた。
外出から帰ってきたぺいんとはやけに上機嫌だった。
「あれ?ねぇ、らだぁ。冷蔵庫のケーキ知らない?箱のまま冷蔵庫に入れてたはずなんだけど」
「食べたよ。」
「は?二つとも?」
「うん。あれ、食べちゃダメなやつだった?」
俺がそう言い首を傾げるとぺいんとはわなわなと震え出した。
「…な……よ」
「?ぺんちゃん?」
「なんで食べちゃったんだよ!?あれ、あれ大事なケーキだったのに!」
いきなり大声で怒鳴るぺいんと。まずい、と思った。いつもは俺が勝手におやつを食ってもなんだかんだ笑って許してくれるぺいんとが怒っている。相当大事なケーキだったらしい。そういえばなんか豪華で高そうな見た目をしていた。
「悪かったって、」
「ぅ、グスッ、」
謝ろうとしたらぺいんとが涙目になっていた。
「なっ、泣くことないだろ!?だいたい、そんなに大事なら名前書いとくなりメモ貼っとくなりしとけよ」
「はぁ!?勝手に食べといてなんだよ!おまえっていつもそうだよな!人のもん勝手に食べておいて自分悪くないですよアピール!こっちの気なんて知りもしないで!」
カチンときた。いや、完全に俺が悪いんだけど、そんなに言わなくてもいいじゃんか。
「…はいはい、分かったよ。新しいの買ってくればいいんだろ」
「なんだよその言い方!絶対分かってない!らっだぁのバカ!!」
「は〜〜〜!?」
そこからはもう、言い争い。売り言葉に買い言葉。
「もういい。」
俺は何も持たずに玄関に行き靴を履く。
「ちょ、おい!どこ行くんだよ」
「どっか。頭冷やしてくる」
バタン!
怒りに任せて乱暴にドアを閉めた。
〜外〜
(なんだよぺいんとのやつ、あんなに怒ることないだろ!?)
俺はすっかり暗くなった住宅街の夜道を歩いていた。先ほどの喧嘩を思い出しながらずんずんと歩を進める。
(確かに勝手にケーキ食べた俺が悪いけどさ、そんなのほぼいつものことじゃん)
自分が悪くない口実を探すが、かなり遠くまで歩き、だんだんと夜風に当たって頭が冷えてきたのか、考えも冷静になってきた。
(なんか特別なケーキだったのかも…)
しばらく歩いていると「あれ?らっだぁさんじゃないですか」という声が聞こえてきた。
「しにー?どうしたのこんなところで」
しにがみはてへへと頭を掻く。
「いや〜ちょっと夜ご飯食べ損ねてお腹空いちゃって。コンビニに軽食買いに行ってたんですよ。」
「そうなんだ」
夜ご飯か…そういえば今日は唐揚げのはずだったんだよな。俺の好物の…
「らっだぁさんはもう夜ご飯食べたんですよね?どうでしたその後は〜?」
しにがみがニヤつきながら聞いてくる。
「え?まだ食べてないけど」
「あれ?まだ食べてないんですか?おかしいな、ぺいんとさん帰ったら速攻で食べるって言ってたのに」
ぺいんとの名前を出されてさっきの喧嘩を思い出す。
「それにぺいんとさんかなり気合い入ってましたよ。なんたって今日は…」
「らっだぁさんと付き合った記念日だからって」
「…ぇ」
「ぺいんとさんすごいウキウキだったんですから!何日も前からプレゼントとかケーキ屋さん調べてて、それに付き合わされた僕らはずーっとらっだぁさんの惚気話聞かされて!絶対良いムードで渡すんだ〜って超楽しみにしてましたよ」
……記念日。そうだ、記念日だ!
なんてことだ、完全に忘れていた。やらかした。だからあんなに上機嫌だったんだ、だからあんなにケーキで怒ったんだ!やばい、俺は、恋人との記念日を忘れ、せっかくの好意を踏み躙ったんだ。
「らっだぁさん?どうしました?」
冷や汗を垂らし始めた俺の顔をしにがみが覗く。
「…教えてくれてありがと。俺、帰んなきゃ」
「え?ちょっ、らっだぁさん!?」
困惑するしにがみを背に、俺は元来た道を走り出した。
(謝らなきゃ)
ぺいんと、きっと今怒ってるかな。いや、泣いてるかもしれない。俺のせいだ。
(そうだっ、帰る前にLINE入れとこう、)
そう思い立ち止まってポケットの中に手を突っ込むが、スマホはない。
(あぁ〜しまった!ぺいんとん家に置いてきたまんまだ!クソッ!)
仕方ないと諦めてまた走り出そうとした時、
ガツンッ!!
「ガッ……!?」
後頭部に衝撃が走った。
痛みを感じたのも束の間、俺は意識を失い地面に倒れた。
ここで一旦区切りとします。次話はぺん視点のお話
コメント
7件
初投稿なのにめっちゃ吸い込まれるような、物語にできるの凄いよっ!次は、🍤さん視点だけど、凄く楽しみにしてるね〜!