君が守り抜いた命だから ※微死ネタ
【赫視点】
赫「ぅあ”ッ…うり’ッ”…」
綠「ゆあんくん….」
目の前に包帯を巻かれ、静かに目を閉じてベッドに横たわる俺の大好きな人。
何が悪かったんだろう。誰が悪いんだろう。なんで此奴がこんな風にならなきゃいけなかったんだろう。
脳を巡るのは疑問だけ。
横にいたのに助けられなかった、その場で足が竦んで動くことが出来なかった自分自身への怒りと悔しさが、俺の心を踏み荒らす。
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キキーッ ────
俺とうりが横断歩道の信号を待っていた時だった。車道の信号は青。当然車は走っている。
そんな道路に突然、小さな子猫が飛び出した。
その事にうりはいち早く気付き、俺が止める間もなく道路に飛び出した。
ドンッ ───
鈍い音、周囲の悲鳴が俺の耳に届く。俺は今目の前で起きている事を理解したくなくて、見ないふりをしたくて、それでも、うりの優しさを見て見ぬ振りするなんて出来なくて、俺はうりの方へと駆け出した。
赫「うりッ”!!」
俺の喉から漏れた声は、震えていて、喉の奥は燃えるように熱く、今にも泣き出してしまいそうだった。
黑「ね、”ゆぁ…、?」
赫「話さなくていいから”ッ、」
うりは、頭から赤黒い血を流しながら、目に涙を浮かべて俺を見詰める。
黑「ねこちゃん、だいじょうぶ、かなぁ”、ッ」
赫「大丈夫ッ、大丈夫だからッ”、!」
今はただ、自分の心配をして欲しかった。
うりに抱かれた子猫は、幸いにも無事で、不安げに黒く丸い目を潤ませている。
黑「ゆぁん、”くん、…」
赫「ッ、、今救急車呼んでもらったからね”、」
黑「ぃや”、もぅ…」
赫「やだっ、ねぇ”っ、」
黑「だいすき、…だよっ、?」
赫「おれも、ッ”、あいしてる、’…っ、」
周りの目なんかどうでも良くて。今目の前にいる最愛の人が、どうか助かることだけを願って、俺を置いていって欲しくなくて、温もりが無くなることが怖くて、俺は必死にうりを優しく抱き締めていた。
鳴り響く救急車のサイレンの音。俺の腕の中にいるうりは、もう、息をするのも苦しそうで、俺は必死に声を掛けた。
赫「うり”っ、おねがい、ッ」
黑「…..」
うりは俺の涙を、優しく拭ってくれた。
俺のせいで、俺が出掛けようなんて言わなかったら、なんて、今さら考えたって意味も無いことを考えて、過去に戻りたいと、心の奥底から願っていた。
隊員「ご同行お願いしてもよろしいでしょうか、?」
赫「はい…、」
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赫「….あの」
隊員「はい」
赫「この猫、俺が引き取ってもいいですか?」
隊員「…….わかりました」
うりが身を呈してまで守った子猫の事を、うりの代わりだと勝手に思い込んで、俺は子猫を引き取ることにした。
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靑「ゆあんくん…」
赫「…..なおきりさん、」
靑「もう23時ですよ….、?」
赫「….っ、」
靑「いくらシェアハウスで、僕が居るとはいえ、流石に皆さんも心配してますよ」
赫「わかってる、わかってるよ、」
あれから2ヶ月。未だ目を覚まさないうりの手を、俺は強く握っていた。こうしてもう、何時間なのだろうか。
靑「帰りましょう、?」
赫「……わかった、」
靑「うりさん、また今度」
赫「…..また明日ね、」
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桃「なおきりさんっ!ゆあんくんっ!」
靑「すみません、遅くなりました…」
赫「…..」
黄 「今日も、目覚まさんかったか、?」
靑「….はい」
みんなの話している声すら、遠くて。隣にいるなおきりさんの声もハッキリと聞き取れなくて。
俺の耳にはまだ、あの時のうりの”大好き”が離れないでいる。
?「にゃぁ…、」
赫「….」
桃「やっぱり、”耹(オト)“はゆあんくんのこと大好きですね、笑」
赫「ねぇ、耹」
耹「にゃ、?」
赫「お前は、うりに守られた命なんだよ」
靑「っ….」
実は、耹が居なかったら、うりはまだ隣で笑ってくれてたのに、なんて、最低な事を考えている自分だっている。
それでも、耹はうりが迷わずに自分の命を放ってまで、守り抜いてくれた命だったから。
俺は、お前がまた隣で笑ってくれるようになるまで、なってくれてからも、耹を守り続けるよ。
コメント
6件
感動系も良すぎる最高ですありがとうございます😭♥
え、めっちゃ好み ~ 、僕の好みわかっていらっしゃるわね。 最愛の彼を失ったのはとても悲しいこと。 耹、、おとっていう名前にした理由わかったかも、 笑