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私は泣いていた
式は終盤に入り義姉が自分の両親に涙ながらの手紙を読んでいた、兄がそばに寄り添いそっと彼女の美しい涙を拭いてあげていた
誰もが感動して泣いていた
はたから見たらその二人に感動して、泣いているだろうと思われるかもしれないが
私はわからず屋の両親の元に生まれた不運と、また両親を説得できない自分自身に、腹が立って泣いていた
同じ涙でもスポットライトを浴びている、花嫁とは雲泥の差だ
なんとか涙をこらえながら母と、笑顔で兄の結婚式の客人を送り出すと、披露宴会場を後にして8階の親族控室に行った
大きな客間を開けると光沢のある、オーガンジーの海のようなドレスの、たっぷりとした生地の真ん中に、義姉の弘美さんが待っていた
シンデレラが履くような美しい白のヒールは、床に放りだされ
流れるように長いキラキラしたレースのベールも、テーブルの上に投げ出されている
教会で彼女の花嫁姿を見た時、あまりの美しさで胸がキュンとなった