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初めまして。しがない冷茶です。本日から投稿をさせていただきます。
基本英日オンリーだと思います。英日に狂っていますのでね。
語彙力、表現力共に乏しいのでおつまみ程度に読んでいただければ幸いです。
ここから本編です。いくつか注意事項を…🇬🇧が敬語ではありません。キャラ崩壊?など多いかもしれません。また、少し歴史ネタを挟んでいるのですが実際のものと異なっているかもしれません。
あと色々…大体何でも許せる方、どうぞご閲覧ください。
ある日のティータイム。
私は同居している恋人の日本と、紅茶を嗜みながら話をしていた。
🇯🇵「…という訳でして」
🇯🇵「しばらく出張に行ってきます。5日目には帰ってきますので!」
彼が出張で少しの間うちを留守にするという報告を受けた。
🇬🇧「…うん、分かった。気をつけて行ってくるんだよ。」
🇯🇵「はい!ありがとうございます。」
彼はゆるゆるの顔で微笑んでいる。けれど、私の心の内はもやがかかっていた。
🇬🇧「…」
理由が何かはあまり考えたくなかったし、考える必要も無いと思って、放っておいた。
…
出張1日目の深夜。
🇬🇧「…」
何故か寝れなくて、誰も居ないリビングで無意味に時間を浪費していた。落ち着かなかった。無作為に部屋を歩き回ってみたり、テレビの電源を付けてしばらくしたら消したりを繰りかえしてみたがそれは収まらなかった。
🇬🇧(…)
🇬🇧「はぁ。」
🇬🇧(…紅茶でも淹れるか)
🇬🇧(そうだ、一度リラックスしよう…。)
大きくため息を吐いて、気分転換に向けて行動を起こそうとした。台所にだらけた足取りで向かい、ケトルで湯を沸かし、ティーバッグとカップを用意した。
🇬🇧(数日留守にするくらいなんて事ない、それに出張なぞよくある事だ)
🇬🇧(いちいち一喜一憂していてはダメだ…)
自分に言い聞かせるように、せわしなく思考を巡らせた。
🇬🇧「…?」
ふと手を止めた。紅茶を、二人分用意してしまった事に気づいたのだ。いつも日本の分も用意していたから、そのクセが出てしまったのだろう。
🇬🇧(あぁ、しまった…1杯で良かったのに…)
🇬🇧「…」
その瞬間、過去の記憶が押し寄せるかの如くフラッシュバックした。
…昔、私達は同盟を組んでいた。順風満帆までとは行かなかったが、良いコンビだったと思う。彼にはよく紅茶を振舞った。他愛ない話なんかも交わした。いつもお堅い雰囲気の彼が時々見せる柔らかな笑みが、いつしか愛おしく思うようになっていた。
しかしそんな関係も長くは続かなかった。彼が暴挙に出始めた頃から、亀裂が入り始めた。何度も忠告したが、彼はその刀を納めてはくれなかった。そして、ついには日英同盟破棄までに至ってしまった。しかも、しばらくしない内に彼は別の奴に乗り換えた。私はひどくショックだった。彼が憎くて。でも彼が忘れられなくて。彼と一緒にいた時のことが私の体を蝕むように深く根付いて…二人分の紅茶を用意してしまうクセが取れず、柄にも無く、誰も居ない部屋で怒り嘆いた時も多くあった。
あの時の苦くて痛いくらいの記憶を、思い出してしまった。誰も居ない部屋、二人分の紅茶。幾度も繰り返した夜の記憶が襲いかかってきた。急に周りが静かになった様な気がした。自分の心拍だけが、警鐘のようにうるさく響いていた。
🇬🇧「っ…!」
🇬🇧(いや、あんなの昔のことだ)
🇬🇧(それに、彼は私に何の一言も無しに居なくなるなんてしない。それは身に染みる程分かっている。杞憂だ。そうだろう。)
台所を離れソファに座り、必死で、己に暗示した。日本は必ず帰ってくる。彼は自己犠牲を厭わない程私に献身的だ。絶対に、絶対に私の傍を離れたりなんてしない。そう強く言い聞かせた。
🇬🇧「…」
🇬🇧「…?」
ふいに、自分の頬や額を何かが伝っている感触がして、少し頬に触れてみた。水っぽくて、少し冷たかった。
それが冷や汗である事に気づくのに、数秒かかった。
この状況にひどく気を動転させていることを改めて自覚した。そう分かると、さらに不安は膨れ上がっていった。息が詰まった。
どうすればこの不安を拭えるのか懸命に考えた。でも単純なことしか思いつかなかった。それはこの感情を鎮めるのと同時に、自分の弱さを認めることでもある。あまり、したくなかった。
…しばらく躊躇ったが、結局最終手段に出ることにした。
🇬🇧「…もしもし。」
🇯🇵『は、はい!』
彼に電話をかけてしまった。ビデオ通話で。彼の顔を見て安心したかったのだが、かなり滑稽だと思う。それでも、画面越しにこちらの事を見つめる日本の顔を見たら心臓が落ち着きを取り戻してきた。
🇯🇵『ど…どうしたんですかこんな時間に!しかもビデオ通話って…まさか、そっちで何かあったんですか!』
慌てた様子でこちらの状況を尋ねてきた。流石に本当の理由は言えなかったから、適当に誤魔化そうとした。
🇬🇧「…いいや。ただ…君のことだから、私が居なくて寂しがってるかなと思ったんだ。寂しくてどんなしょぼくれた顔をしているか見てやろうと、ね。」
自分の口から出てきたのは高飛車な嘘。こんな嘘を吐くのはいとも容易いが、今だけは少し何が引っ掛かりを感じずにはいられなかった。後ろめたさ?申し訳なさ?
🇯🇵『え…えっ?い、いやいやいや!そんな私寂しがりじゃないですからね!?数日くらい大丈夫ですよ!人の事なんだと思って…。』
🇬🇧「本当かい?そりゃあ良かった。これから数日、毎晩電話をかけるのも骨が折れるからね。」
くだらない言い訳を止めたい気持ちをよそに、私の口は尊大な物言いで嘘を塗り重ねていった。止めたくても止められなかった。己の弱さを曝け出せるほど私は…勇敢なんかじゃない。
🇯🇵『ちょっ…もう…ホントはそっちが寂しかっただけなんじゃないですか?』
🇬🇧「おや?このグレート・ブリテンが君の留守如きで寂しがるとでも?ウサギじゃあるまいし。これはまたとんでもない侮辱だな。」
🇯🇵『は、ふふふっ…』
私の真意も知らず、日本は無邪気に微笑んでいた。胸が痛くなった。こんな救いようのない私に笑顔を向けてくれて、冗談を言い合ってくれて…。なのに私はどうだ。過去を引きずって勝手に不安になって、彼に迷惑をかけている。彼は私が守らなければいけないのに。悔しさか己への失望か、両方かもっと別の感情か、何かがごちゃ混ぜになって苦しくなった。
本当に私は救いようのない奴だ。
しばらくして通話を切った。そして冷めた紅茶と部屋を後にし、寝床で泣き伏した。