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「さっきまで半信半疑だったんですけど、本当に会えるんですね……」
「そうだよ、会えるんだよ。最近、ずっとうちにも来てもらえてなかったしね。良かったね、雫ちゃん」
「はい。ずっと本当に仕事が忙しくて、海外にも行って……たまたま大きな事業の契約とかが重なったみたいです。毎週月曜日の配達も、あんこさんのパンはずっと前田さんの胃袋に消えてましたから」
2人で笑う。
「そうだったね。でも前田さん、おかげでうちのパンのファンになってくれたもんね。イベントの時もかなり売り上げに貢献してくれてたし」
確かに、毎日買ってくれてたな、しかも大量に。
一緒に働くスタッフなんだから少しくらいサービスするのに「それはいけません! 店長さんのパンのファンとして、キチンとお金を払います!」って……
メガネをキュッと整えて、真面目過ぎる顔で言ってたのが面白くて、すごく可愛かった。
「前田さんって本当に誠実で素敵な人ですね」
「そうだね~イベントの時は本当に頼りになったもんね。アドバイスいっぱいしてくれて、おかげで助かったし……って、いつの間にか前田さんの話になってるじゃない~」
また笑う。
あんこさんと話してると本当に楽しくて、もっともっと話していたくなる。
人を包み込んで癒してくれる、魅力的で素敵過ぎるお姉さん。
でも、仕事、あんまりサボれないもんね。
私は、あんこさんにお礼を言って持ち場に戻った。
ずっと時計ばかり気にしてる自分……ソワソワして落ち着かない。
今までとはちょっと違う祐誠さんへの思いがあって、少し変な感じがする。
私、本当に「答え」を出せるのかな?
自分の気持ち、知りたいよ……素直な今の気持ちを。
ずっと無理に閉じ込めようとしてきた恋愛感情を、全部ちゃんと解放して向き合いたい。
希良君なのか、慧君なのか……
祐誠さん……なのか。
その「答え」を出して、そこから新たな1歩を踏み出したいと強く思った。