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母さんの料理は、少しだけ味が濃かった
ハンバーグも。
カレーも。
卵焼きも。
友達の家でご飯を食べた時、「あれ、こんな薄いんだ」って驚いたくらいには。
「塩分やばくね?」
そういうと母さんは決まって笑った
「働いて帰ってくる人にはこれぐらいがちょうどいいの」
父さんは、黙って食べて「美味い」って言う
その光景がいつも不思議だった
中三の冬
俺は母さんと大喧嘩した
「うるさいな!」
テーブルを叩いて立ち上がる
「毎日毎日勉強しろって!」
「あなたのためを思って……」
「勝手に産んどいて”ため”とか言うなよ!」
言った瞬間
空気が止まった
父さんも橋を止めた。
母さんは何も言わなかった
ただ少し笑って
「……ご飯冷めるよ」
ただ、それだけを言った
俺は家を飛び出した
最低なことを言ったのはわかってた
でも、戻れなかった
深夜
寒さで限界になって帰ると、リビングの明かりだけが付いていた
母さんはソファで寝ていた
テーブルにはラップのかかったハンバーグ
その横にメモ
『温めて食べてね』
……怒ってないのかよ
なんでだよ
普通あんなこと言われたら怒るだろ
俺は電子レンジの前で、急に泣きそうになった