フィル「他に通れる道は、
ないんですか?」・モリトに訊いた
モリト「あなた方も、ご覧になったと
思いますが、この辺りは、高い山々に
囲まれているのです。その上、大地を
激しく削るような川もあり、この
道以外は難しいでしょう。」・フィルに
説明した
フィル「うーん、そうなると…。」
モリト「ただ、川をくだった先なら、
いけるかもしれません。」
ダイアン「川をくだった先?」
モリト「えぇ。海沿いも崖に
なっているので、飛び込めば近くの港に
辿り着けると思います。」・ダイアンを
見て、うなずいた
ダイアン「それ。屈強なヤツ以外は
ムリだろ…。」・モリトを見ながら
呟いた
モリト「と、言うのは冗談で、
場所がらワープ装置もありませんし、
閉じ込められたも同然でしょうな。」・
門を見上げた
フィル「ダイアンさん。さっきの村に、
ワープ装置を届けることってできます?
」・ダイアンに訊いた
ダイアン「あぁ、できるぞ。ちょっと
待ってな。兄ちゃん。」・フィルを
見てから、衛星電話を取り出した
「コロコロ…。」
語り手「ぷー吉は、ダンゴムシを
転がしている。」
ダイアン「もしもし、サイフォン?」・
話しながら、その場を離れた
モリト「ワープ装置をお持ちでしたか。
」・ダイアンを見て言った
フィル「えぇ。しかも最新式なんです。
」・こちらも、ダイアンを見ている
バイス「のぼった方が早くね?」・門を
見上げながら言った
ダイアン「それでな。背伸びしたと
思ったら、変な空間を出して、ピシッと
消しちまったんだぜ(笑顔)。ん?
じゃあ、また、あとで。」・電話を
切った
フィル「どうでした?」・ダイアンに
言った
ダイアン「村の人たちの
意向しだいだが、今日中にも
届けるってよ。」・フィルの方へ
歩きながら答えた
「クイ、クイ。」・ぷー吉は、モリトの
服を引っ張った
モリト「おや、何かな?」・ぷー吉を
見た
ぷー吉「ともだち。」・モリトに言った
モリト「そうそう。あなた方の他にも、
小さな、お客さんが来てましたよ
(笑顔)。」・フィルたちに話し始めた
バイスの心の声(おきゃくさんって、
なんだ?)・モリトを見ている
モリト「ですが、門を調べ始めたと
思ったら、すぐさま、森の方へ去って
しまったのです。」・残念そうに言った
フィル「ふーん…。」・モリトを
見ている
ダイアン「その小さいのって、リスか
何か、か?」・フィルの隣で、モリトに
訊いた
モリト「いえ、見ためは、この子と
ウリふたつで、賢そうな眼を
していました。」・ぷー吉を
抱き上げて言った
ダイアン「バイスにソックリねぇ。」・
腕を組んだ
バイス「お、れ!!」・ダイアンに
向かって、『バイスは、自分だ!!』と
怒った
ダイアン「おっと、わりぃ。そっちのと
間違えちまった(笑)。」・バイスに
謝りながら、自身の頭を触った
モリト「あなたは、かわいらしい眼を
していますね。」・ぷー吉の顔を
見ながら、その頭をなでた
ぷー吉「ふう〜…。」・猫のように、
ノドをゴロゴロさせた
ダイアン「それにしても、魔物の、
うろつく場所を通るとは度胸があるな。
」・自身のアゴに触りながら言った
フィル「その子に会ってみませんか?
」・ダイアンを見た
ダイアン「会う、つったって、森の方へ
去ったんだろ?どうやって
見つけるんだ?」・フィルに言った
フィル「大丈夫ですよ。森の中に
1軒だけ家が見えましたから。そこへ
行けば会えると思います。」
ダイアン「なるほど、家か。」・手を
ポンと叩いた
モリト「レモン色の毛とは、
めずらしい。」・バイスを持ち上げて、
しげしげと見た
ダイアン「あんたは、どうする?一緒に
来るか?」・モリトに訊いた
モリト「いえ。のんびりと待たせて
もらいますよ。」・バイスを見ながら
答えた
ダイアン「じゃあ、オレたちだけで
行こうぜ。」・フィルを見た
フィル「えぇ。」・ダイアンを見て、
うなずいた
語り手「ダイアン・フィル・ぷー吉は、
森の方へ歩き出した。」
モリト「ほら、みんな行くって。
バイバーイ(笑顔)。」・バイスの
右前足を持ち、ダイアンたちに向けて
振った
バイス「ばっ、ちげぇ!?」・ひどく
慌てた様子で、モリトとダイアンたちの
方を見た
語り手「バイスは、置いてかれそうに
なった(笑)。」
『道中で…』
バイス「まったく(怒)。」・フン!と
、ハナから息を出した
フィル「あの木々の、あいだです。」・
森の中を指した
ダイアン「ここから見えるなんて、
兄ちゃん、眼が良すぎだろ…。」・手を
かざしながら、森の方を見ている
『森の中の1軒屋で…』
ダイアン「ログハウスか…。」・家を
見上げながら言った
フィル「さっ、中に入ってみましょう。
」・木の階段を上がった
ダイアン「・・・・・。」・壁に
立てかけてある波乗り板を見ながら、
階段を上がった
「タッタッタッ。」
語り手「バイスと、ぷー吉も、
ふたりのあとに続いた。」
フィル「ごめんくださーい…。」・扉を
そーっと開けた
「カチャカチャ…。」・肩から
青いポーチをさげた犬(茶色)が、
こちらを背に座っている
「タッタッタッ。」
バイス「おっ、ぷー吉。」・茶色の犬の
背に立った
茶色の犬「ん?」・ガラクタいじりを
やめて振り向いた
ぷー吉「ふあ、きゅうり(ウリふたつ)
。」・笑顔で、バイスの、うしろに来た
バイス「なんだ。こっちに居たのか。
」・うしろの、ぷー吉を見た
フィル「わぁ。本当に、ソックリですね
(喜)。」・茶色の犬を見ながら
家に入った
ダイアン「確かに、きゅうりだぜ
(笑顔)。」・フィルの隣に来て言った
フィル「・・・・・。」・お前も
言うのかよ、と思いながら、ダイアンを
見た
茶色の犬「おい!さっきから、
なんだよ!?勝手に上がり込んで
言いたい放題か!!!」・フィルたちに
向かって怒鳴った
バイス「そう怒るな。ぷー吉。」・
前を向いて茶色の犬を見た
茶色の犬「誰が、ぷー吉だ(怒)!?
」・自分をぷー吉と呼ぶ、バイスに、
かみついた(くってかかる)
バイス「ぷー吉。まぎらわしいから、
あっち行ってろ。」・茶色の犬を
見たまま、うしろの、ぷー吉に言った
ぷー吉「ふぁい。」・引っ込んだ
茶色の犬「お前。わざとだろ(怒)。
」・ふざけている、バイスを
にらみつけた
フィル「はいはい。バイスくんも、
あっちに行こうね。」・バイスを
持ち上げて、その場を離れた
茶色の犬「ったく。なんだよ、あいつは
…。」・バイスの方を見ながら呟いた
ダイアン「すまんな。バイスは、
あること(ミノタ)が原因で、ちょっと
変になってんだ。えーと。」・茶色の
犬の前で屈んだ
茶色の犬「ぼくは、『ぷー太郎』。
吉(ぷー吉)の方じゃないからね。」・
そっぽを向いた
フィル「名前まで、似ている…。」・
家の隅で、ぷー太郎を見つつ、バイスを
降ろした
ダイアン「そうか。オレは、ダイアン。
そっちのが、フィルの兄ちゃんで、
犬たちは紹介済みだな。」・ぷー太郎に
言った
ぷー太郎「・・・・・。」・ダイアンを
背にして、ガラクタをいじりだした
ダイアン「お前。山あいの門の
ところまで行ったんだって?魔物が
居るのに度胸があるじゃねぇか(笑顔)
。」・ぷー太郎をほめた
ぷー太郎「小型の偵察機(ドローン)を
使ったからね(喜)。複数とばせば、
魔物の位置が把握しやすくなるんだ
(笑顔)。」・振り向いて、
楽しそうに話し始めた
ダイアン(こいつ、ちょろいな。)・
心の中でニヤけた
ぷー太郎「普段は外を見るために
使うんだけど、自動操縦のテストも
兼ねて、門を調べに行ったんだよ
(自慢)。」
バイス「これ、なんだ?」・金属の、
かたまりを触ろうとした
フィル「こら、勝手に触ろうとしない
(怒)。」・バイスを叱った
ぷー太郎「きみたちも、門がジャマで、
通れなかったでしょ。いま、合カギを
作っているところだから、ちょっと
待ってて(笑顔)。」・ガラクタを
いじりだした
フィル「えっ、合カギを作れるの!?
」・おどろいて、ぷー太郎を見た
ぷー太郎「そうだ!ただ、
待たせているだけじゃ悪いし、
ぼくの発明品を見ていくといいよ。」・
ガラクタいじりをやめて、人のように
立ち上がった
「トコトコ…。」
ぷー太郎「えーと…。」・クマの
『ぬいぐるみ』や、『つみ木』をどけた
ダイアン「・・・・・。」・ぷー太郎を
見ている
バイス「どんなだ?」・ぷー太郎の隣に
来て、銃のような発明品に触ろうとした
ぷー太郎「お前は触るな!」・バイスの
右前足をパシッと、はたいた
ダイアン「しかし、少々チラかってや
しねぇか?」・立ち上がって、周囲の
ガラクタたち(発明品をふくむ)を見た
フィル「門のカギは、
カード式だったはず…。」・立ったまま
考えごとをしている
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