テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「なんで気づかなかったんだろう」
コンビニでおにぎりを買って帰ろうとしていた時、目にゴミが入ったかと思い目を瞑った。そして目を開くとそこは知らない場所だった。訳がわからず呆然としていると突然声をかけられた。
「お願いです。助けてください!」
珍しく格好をした女が自分の手を掴んでいた。訳を聞くと、俺は魔王を倒すためにこの女に召喚された勇者らしい。最近漫画やアニメで多くある異世界転移というやつだった。予想通り俺にはすごい能力が備わっていた。特別な能力はないものの、基礎能力が異常に高かった。
女は何度も説明をして、必死で俺に魔王と倒してもらおうとしていた。だがそんなに説得しようとしなくても、もともと手を貸すつもりだ。
元の世界、、、そこで俺は一回も頼られたことがなかった。興味を持たれることも0に近かった。空気みたいな存在の俺は女の「お願い」という言葉が嬉しくて、何を言われても助けてあげたくなった。単純ということは自分でもよく分かっている。でも、仕方ないじゃないか。初めて自分の存在を認めてくれた気がしたんだから。
お願いを承諾した次の日から地獄の特訓が始まった。毎日倒れそうになるのを足に力を入れて頑張って立つ。特訓をしてくれている強そうな男からはここまで一切根を吐かず真面目に行なっていたのは俺だけらしい。いろんな人からすごいと言われて嬉しかった。それだけで頑張ることができた。正直辛いなんて思わなかった。
何年も敵と戦って魔王城に着いた。それまで俺は1日も休むことはなかった。みんなの期待にいち早く応えたくて頑張った。魔王城での戦いはきつかった。何百何千といる敵を俺1人で倒す。数日かかり、やっとのこと魔王と戦うことになった。その戦いは数週間にも及んだ。
勝った。最後に立っていたのはこの俺だった。今まで感じたことのない嬉しさが込み上げてきた。これでみんなの期待に応えられた、みんなが喜んでくれる。俺は軽い足取りで皆のもとに帰った。
思っていた反応はされなかった。
みんなの顔は笑顔ではなく軽蔑のような怖いもので、報告する時の雰囲気は冷たく重かった。なぜか分からず女に話しかけようとすると悲鳴を上げられた。すぐに兵士などが俺を囲み、拘束し、どこかへ連れて行った。
牢屋に入れられた。兵士に訳を聞くと
「お前は用済みだ」
と言われた。意味が分からなかった。用済み?平和を守ってあげたのに?俺はさらに問い詰めた。すると女が現れた。そして、馬鹿な俺にも分かるように説明してくれた。
「あなたは魔王を倒しました。それは讃えましょう。ですが、魔王亡き今あなたが世界で1番強くなってしまいました。それは困るのです。」
「あなたが最強だと、従わなくなった時誰があなたを倒すんですか?」
「、、、つまりあなたは魔王を倒すためだけの道具なのですよ。」
それだけ言って女は帰った。
俺は魔王を倒すためだけに無理矢理連れてこられたなんて、、、全部いいように使われてただけだったなんて嘘だよな?
今までのことを思い返す。
あれ?そういえば
それだけじゃない。毎日休まず特訓しても戦っても誰からも休めって言われてない。
倒してくれれば誰だってよかったんだ。
お願いなんて偽りだったんだ。
結局全部あいつらの手の平の上で、
俺は言われた通り動いていただけ。
俺の人生そういうものか。
数日後。俺は広場にいた。ちょうど今から首を落とされるところ。逃げてもよかったが、逃げた後何をしたらいいか分からない。それに、生きる意味もよく分からないしな。
巨大な刃が自分の首めがけて落ちてくる。
ena🐱一週間猫化とぶりっ子
527
こんな時にごめんと謝る相手もいないのは悲しいな。
、、、魔王の正体はなんだったんだろうか。
ただの人間虐殺が趣味なだけなのか。
もしかして俺と同じーーーーー
ENDー10 「真実を知った少年」