テラーノベル
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フッ素「…みんなと、離れちゃった」酸素「…だね」
水素も炭素も窒素もホウ素もいない。
あの爆発から数分後、周りにはフッ素しかいなかった。
フッ素は水素お兄ちゃんと話してる時無理やり引き剥がすような子だから、正直嫌ではあるけど。
でも、今はそんなこと言ってられない。
とある星に着陸すると、都合よく周辺に洞窟のような場所があった。
酸素「ねぇフッ素、ここ秘密基地にしない!?」
フッ素「…秘密基地?」
酸素「そう。ここなら多少の爆発が起きても身を守れるよ!!!!!」
うん、我ながら良い提案!!!
この星もできたてほやほやみたいだし、さっきみたいに爆発することもないでしょ。
…鉄ちゃんが、ちょっと気掛かりだけど。
あ、あれ?
酸素「…え」
酸素「どうしたの?」
フッ素「え、あ…あれ」
どうやらフッ素も気がついてなかったらしい。
…自分自身がないていることに。
酸素「…なんで泣いてるの?」
フッ素「………怖い」
酸素「えぇっと…あっ、ここの洞窟が暗いから!?」
フッ素「うんう、それもあるけど…」
フッ素「……きみも、どこか遠くに行っちゃうんじゃないかな…って」
フッ素「また、爆発とか…したりして、吹き飛んだら、どうしようって」
酸素「えっ…でも」
フッ素「うん…こんな星が爆発するわけないって、わかってる」
フッ素「わかってる、けど…」
フッ素「…どうしても、怖いの。また、鉄みたいに…」
フッ素「あんなことが、おこったらッ……」
酸素「…ならさ」
酸素「これ、あげる」
それは…爆風の中を耐えた、ぼくの手作りの花のピン。
『花』…は、前の、さらに前にぼくらがいた星にあったものだ。
ちょっと不格好だけど、これなら多分大丈夫。
酸素「もしいなくなったら、これで…」
酸素「これでぼくのこと、思い出して!!」
フッ素「…ありがとう」
フッ素「でも…」
フッ素「あたし、酸素になんにもあげられないよ…」
酸素「え…?」
酸素「いや、くれなくても、別に…」
フッ素「うんう…あたしたちを繋いでくれるものが…欲しい、の」
フッ素「…ごめんね、わがままだよね」
…花のピンは気に入ってるのか離してくれなさそうだけど。
でも、それでも不安らしい。
うーん……どうすればいいかな。
なるべく、マイナスな感情は除去してあげたいし。
…そうだ!!!!!
酸素「…じゃあ!!!」
酸素「ぼくとフッ素の一人称交換しようよ!!!」
フッ素「……一人称?」
酸素「そう」
酸素「ぼくの一人称は”ぼく”で、フッ素の一人称が”あたし”でしょっ?」
酸素「だから、ぼくが今から”あたし”を使って、君は”ぼく”を使うの!!っどう!?!?」
フッ素「……あたし…いや」
フッ素「うん…“ぼく”…か。大切にするね」
酸素「えぇっ、そんな大げさなぁ!!」
フッ素「あた…ぼく、すっごく嬉しいもん、だって」
フッ素「これなら、なくさないでしょ?」
酸素「…たしかに」
一人称というものは、物体ではなく概念。
己の身体が滅ばぬ限り、それは”記憶”や”人格”として、永遠に所有できる。
酸素「…よし、」
酸素「今日も”あたし”ら、頑張るぞー!!」
フッ素「……ふふっ」
フッ素「おー!!!!」
その日、あたしたちの叫び声が、
森に木霊した。
コメント
1件
あーもう泣いた😭💕 フッ素が「あたし」じゃなくて「ぼく」って言い直すシーン、ずるくない!? 一人称の交換って概念で繋がるって発想、天才すぎる…。酸素くんが花のピンあげたとこも優しさ爆発だったし、二人だけの秘密基地感がエモすぎてやばいよ…! 次も絶対読みます📖✨
ドライヤーの冷風
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