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サイド ルネ
そう、あれは三年前の、春の日だった。
綺麗な夕焼けを背景に桜の花が舞い散る様子を、立ち入り禁止の学校の屋上から見ていた。
「…………まさか先客がいるなんて」
後ろから、声がした。驚いて振り返ると、赤い帽子を被った生徒がいた。 制服のネクタイの色から、俺と同じ一年生であるとわかる。
「君こそ、何しにこんな場所に来たのさ?」
俺は笑顔でそう聞いた。
入学して一週間足らずで立ち入り禁止の屋上に来るなんて、まともな人じゃない。……ま、それは俺もだったけど。
「俺?」
彼は少し目を伏せた後、何かを思い付いたようにニヤリと笑った。
「俺は!君みたいな人を助けるための、スーパーヒーローだっ!!」
…………。
絶対危ない人だと思ったよ。頭のネジが数本ぶっ飛んでるんじゃないかと思った。
引き気味に俺は、一言。
「別に、病んでる訳でもないし、死のうとしてる訳でもないんだけど」
「そっか!あ、俺木野 大地(キノ ダイチ)!これからよろしくな!」
馴れ馴れしいというか、図太い人だった。すごく。
「いや、仲良くするなんて一言も言ってな……」
「なら、絆を深めるために俺んちこいよ!」
「はぁ?!何でそうなるわk……」
「いいからいいから!ほら、見つかんないように気をつけるぞ!」
いや、もう本当に強引だった。マジで。俺はダイチに誘拐される形でキノの家(今のモンダイジ団拠点)に連れ込まれた。
「……わざと路地裏の複雑な道通ったよね?」
これじゃあ、帰り道が全くわからない。
「タダイマー!」
わざとらしく俺を無視するダイチ。一発殴ろうかな、と思ったときだった。
「「おっかえりー!!!」」
どどどっ!と音が聞こえるくらいの勢いで、二人の人影が俺にタックルという突進をしてきた。もちろん、意表を突かれた俺は勢いを殺せず吹っ飛ぶ。
「グエッ!」
「きゃあああぁぁぁっ!!」
「ダイチ、帰って来たのか」
直後に甲高い少女の悲鳴。そして、静かな男の声がリビングの方から聞こえた。
……動物園かな?それがモンダイジ団の最初の印象だった。