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ある夜、仕事終わり。
康二がいつものように深澤の部屋へ向かうと、部屋の灯りは暗く、
奥のテーブルに、一つの箱が置かれていた。
🧡「ふか?」
💜「こっち」
ソファの奥、深澤がいた。
ゆっくり立ち上がって、康二の前に歩み寄る。
💜「今日は、大事な話をしようと思って」
🧡「……なに?」
💜「康二。君は今、どれくらい俺を必要としてる?」
🧡「全部や。
お前がいないと、寝られへんし、笑えへんし、
……もう、何にも意味がない」
💜「うん、それなら──」
深澤は、あの箱を開けた。
中に入っていたのは、一本の首輪だった。
けれど安っぽいものではない。
黒のレザーに、控えめな銀のリング。高級感と品がある。
💜「これは、ただのアクセサリーじゃない。
“俺のもの”って証。誰にも見せなくていい。けど、つけててほしい」
康二は数秒、黙っていた。
けれど、次の瞬間には静かにうなずいていた。
🧡「……つけて」
深澤が優しく首にかける。
カチリと音がして、留まる。
💜「……これで、完全に“俺だけの康二”」
🧡「ふか……俺、もうホンマに、お前以外、いらん」
💜「うん、知ってる。だから俺も──
君が壊れても、全部引き取るよ」
どこまでも甘く、どこまでも狂おしい。
アイドル・向井康二は、
誰よりも煌めく存在で、
誰よりも孤独な人間だった。
そんな彼が、唯一安心して壊れられる場所。
それが、深澤辰哉という名の“檻”。
これは恋ではない。
支配でもない。
──ただひとつの「完全な関係」の形。