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23 - 第二十三話「最初の音」

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2025年07月25日

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――夜が明ける。


ないこは、静かに目を開けた。

少しずつ整い始めた心。まだ不安は残っている。

けれど、今日は何かが違っていた。


目覚めた部屋には、暖かな光が差し込んでいた。

もう、鏡のヒビも、影も、ない。


ないこ(心の声):

「終わったんじゃない。

 今、やっと“始められる”気がする」


リュックに、ノートとギターを詰めた。

音が怖くない。

沈黙の中に閉じ込めていた“想い”を、また音に乗せてみたいと思えるようになった。


今日は――久しぶりに、スタジオに向かう。



いれいすのスタジオ。


扉を開けると、そこにはメンバーがもう揃っていた。


りうらがニッと笑って言った。


りうら: 「遅い。どれだけ待ったと思ってんの」

いふ: 「って言いながら、一番緊張してたのあいつな」

いむ: 「今日のために機材全部磨いたし」

初兎: 「さっきからピアノの前から動いてない」

悠佑: 「俺? 俺はずっと歌詞帳抱えてたけど?」


ないこは思わず笑ってしまう。

自然に、こんな風に笑えたのは、いったい何日ぶりだろう。


そして、そっとギターケースを開ける。


ないこ(心の声):

「これが、“俺”の“最初の音”――」


スタジオの空気が静まり返る。


コードを一つ、弾いた。

それはどこまでも優しくて、弱くて、でも確かに力強い音だった。


すぐにピアノが寄り添い、ベースが重なり、ドラムが支える。

いれいすの音が、久しぶりに“ひとつ”になった。


誰も言葉を交わさなかった。

けれど、みんなが知っていた。


この音こそが、ないこが帰ってきた証。

そして――新しい“物語の始まり”。


ないこ(心の声):

「俺はもう、逃げない。

 “この音”が、俺をここに繋ぎとめてくれるから」


ひとつ、またひとつ、音が重なる。


その響きが、ようやく“未来”を描き始める。




次回:「第二十四話:ひとつのメロディ」へ続く



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