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「こんにちはー!!おやっさんいるかーい.」
真夏の外より暑いビニールハウスに、軽やかで優しい声が響く.
「はーい!!いるよー!!」
とちょっと耳の遠くなったじいちゃんの代わりに🌸は返事をして,呼ばれた本人を呼びにいく.
「ハサミやるからなんぼでも採ってけー.」
じいちゃんは返事してかごいっぱいになったピーマンを詰んだ荷車を押して,声の主のもとへ.
「🌸も休憩し.」
と言ってくれたので,🌸もちょうどいっぱいになった荷車を押して外に出ることに.
「もくたおじさん,こんにちは.」
「こんにちは.相変わらず手伝いしてて偉いな」
「こうみえておこづかい稼いでます.スイカ採る前にお茶でも飲んでって.」
“もくたおじさん”こと菊田杢太郎は🌸からすると,じいちゃんのところに野菜を取りに来るお得意様で,幼少の頃からよく懐いていた.
お茶休憩をしたのち,彼はスイカを育てているビニールハウスへ.🌸は彼に渡すピーマンなどの夏野菜を袋いっぱいに採る.
「こんなにいっぱい,いつも悪いね.」
「いいのいいの.野菜は切って冷凍しとけば傷まないから.」
「お礼に🌸の仕事,ちょっと手伝ってもいい??」
「良いけど,靴も服も汚れちゃうよ??」
「大丈夫,気にしない.」
「じゃあ…車余ってるから取りに行こ.」
🌸はじいちゃんに許可を取って,使われてない荷車にかごをセットして菊田に渡す.
「これくらいのやつ,採っていいよな??」
「うん.」
と🌸アドバイスをもらいながら収穫していき.
「おやっさん,今日は俺が農協まで運んでいい??」
「ほな頼むわ,消毒せないかん日やから助かる.🌸伝票持ってきて.」
「はーい.」
助手席から取った伝票を渡し,収穫したピーマンのかごを積んで.
「🌸も行く??」
「うん,行く.」
お誘いを受けた🌸は助手席に乗り込んだ.
「学校はどう??」
「普通….」
「そっか.」
「おじさんは??」
「ぼちぼちかなぁ.あ,この奥まで車で入って良いんだよな??」
「うん.中まで突っ込んじゃって.」
と集荷場にかごを下ろし、空になって積まれているかごを回収する.
「焼き鳥の屋台出てるから買っていって良いいかな.」
「良いよ.」
「🌸は買いたいものある??」
「財布持ってないから….」
「買ってあげるよ.」
「良いの…??」
「良いよ.」
菊田は自分用と🌸のじいちゃん・父の分と順に購入し、足りない分を焼いてもらっている間に🌸の買い物へ.
「お母さんとお姉ちゃんの分までありがとう!!閉店ギリギリに間に合って良かった!!」
と地元で有名なアイスクリームの袋片手に軽トラに乗り込む🌸の顔はほころぶ.
「どういたしまして.俺も嫁さんに食べてもらいたかったから,おすすめの味買えて良かった.」
「◯◯さん《菊田の妻》元気してる??」
「うん.」
「次いつ会える??」
「お正月かなぁ.初詣一緒に行こうな.」
「うん!!」
こうして菊田は軽トラを返し,皆の分の焼き鳥を🌸に預けて帰っていった.
「(相変わらず良い車乗ってるなぁ.)」
🌸は菊田の車が見えなくなるまで見送って,じいちゃんの様子を見に行く.
「こんなにたくさん!?うちはちょっとでいいから,もっと🌸が取りな.」
「わかった.分けとくから後で家に取りに寄ってね.」
そして.
「私もおじさんに会いたかった~.」
と部活帰りの姉.
「ここの焼き鳥久しぶり.良いおつまみや.」
父は串を片手にビールがぐいぐい進む.
「ちゃんとお礼言った!?」
「言いました.むしろ遠慮した.」
母はしっかり好きな味をキープする.じいちゃんも今頃は焼き鳥を食べているだろう.
「(アイスさいこー!!)」
お風呂上がりにアイスを堪能する🌸.こうして日曜日の夜が更けていった.